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On the Production
by 井口健二
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■デジャ・ヴ、エンマ、孔雀、ピンチクリフ・グランプリ、フランシスコの2人の息子、モーツァルトとクジラ、輝く夜明けに向かって
だけでも楽しめてしまうもので、この作品の場合はセルタネ
ージョと呼ばれるブラジル版カントリーという感じの音楽だ
が、ちょっと哀愁のある曲調は心地よいものだった。
それに、映画の前半で兄弟の役を演じる子役2人が次々に歌
う歌声にも聞き惚れてしまった。また、歌詞が丁寧に字幕に
なっているので、その分、主人公たちの心情も判りやすく良
い感じだった。
8月に紹介した『Oiビシクレッタ』でも、一家の次男が歌
って稼ぐシーンがあったが、音楽好きのブラジル人は結構簡
単にお金を払ってくれるようだ。でもプロとしてヒット曲を
出すのは、沢山いるそういった少年たちに中の一握りなのだ
ろうし、そんな厳しさも、それなりに描かれていたようだ。
ブラジルの音楽シーンなどまるで知らないから、そういう興
味で見ることは出来ないが、劇中の音楽は心地よく、その意
味では気持ち良く楽しめる作品だった。
『モーツァルトとクジラ』“Mozart & the Whale”
アスペルガー症候群と呼ばれる知的障害を伴わない自閉症を
描いた実話に基づく作品。
主人公は、数字を見るといろいろ計算をしなければ気が済ま
なくなる性分。その計算は天才的に素早いものだが、周囲か
らは疎ましいものと取られ、結局、彼自身が世間との接触を
保てない自閉症となってしまう。
しかし、その点を除けば、彼自身は大学を優秀な成績で卒業
した学歴の持ち主で、そんな彼は、知的障害を持つ人も含め
た自閉症の患者を集めたサポートグループを独力で立上げて
いる。そしてそのグループに、やはりアスペルガー症候群の
一人の女性が現れたことから、彼の人生に転機が訪れる。
物語は実話に基づいているが、その実在の人物は自分が病気
だとは判らず、ある日、主治医から『レインマン』を見るよ
うに言われて、初めて自分の病気を知ったということだ。そ
して今回は、その彼の人生を、『レインマン』でオスカーを
受賞した脚本家のロン・バスが物語に仕立てたものだ。
彼自身は頭の中で計算を繰り返しているだけだから、僕らの
素人考えでは世間との折り合いもさほど難しくないように思
える。しかし実際は、世間の無理解が彼の症状を助長し、彼
を世間から締め出してしまっている。
そんな彼と世間との関係が、彼と同じ症状の女性との関係の
中で巧みに描かれて行く。映画は2人の関係を中心に描いて
いるが、各局面ではお互いの相手が世間を代表している感じ
で、世間の無理解ぶりが見事に描き出されているものだ。
ただし描かれているのは、ちょっと問題のある男女の恋愛物
語という感じで、多少並外れたところはあるが、ほとんどは
普通の人間でも思い当たるようなものばかりだ。従って、映
画自体は何も構えることなく観ることができるものだ。しか
し、どうしても構えて観ざるを得ないのが辛いところだ。
主演は、『ラッキーナンバー7』も同時期に公開されるジョ
シュ・ハートネットと、『サイレントヒル』などのラダ・ミ
ッチェル。監督は、ノルウェー人のピーター・ネスが手掛け
ている。
『輝く夜明けに向かって』“Catch a Fire”
1980年代の南アフリカを舞台に、アパルトヘイトに対抗する
ANC(アフリカ民族会議)による自由の戦士となったパト
リック・チャムーソの実話に基づく物語。
南アフリカ最大の製油所セクンダ。そこで監督の地位にある
チャムーソは、2人の娘と美しい妻に囲まれ、少年サッカー
チームを指導するなど充実した暮らしを楽しんでいた。
しかしある日、彼は友人の結婚式からの帰途で警察の検問に
遭い、近くの鉄道で起きたANCのテロの犯人と疑われて暴
行を受ける。その場は真犯人が捕えられて開放されるが、こ
の時、今までは「ラジオ・フリーダム」を聞くこともなかっ
た彼の心に何かが芽生える。
そして、彼の少年サッカーチームが大会で優勝した夜、彼が
ある女性の家を訪ねていたときに製油所で爆破テロが発生す
る。ところがアリバイを明かせない彼は、テロリストとして
公安部隊の拷問による取り調べを受けることになる。
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12月20日(水)
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