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On the Production
by 井口健二
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■ルワンダの涙、シルバー假面、妖怪奇談、素敵な夜ボクにください、僕は妹に恋をする、ルナハイツ2、パパにさよならできるまで
『ルナハイツ2』
小学館発行ビックコミックスに連載された星里もちる原作の
コミックスの映画化。
結婚を決めて立派な新居まで立てたものの婚約者に逃げられ
た男性と、その新居が会社の女子寮として借り上げられたた
めに入居してきた3人女性と1家族。そんな男女が一つ屋根
の下に暮らして巻き起こる恋愛騒動を描いたお話。
3人の内の1人と男性が、最初はぎくしゃくした関係から、
遂に恋心の告白まで行くが、そこに婚約者が現れて…と言う
のが、実は昨年公開された第1作のお話だったようだ。その
前作を僕は見ていないのだが、プレス資料にはかなり詳細な
粗筋が載っていたものだ。
まあ、続編のプレス資料だから前作の粗筋が載るのは当然だ
が、それにしてもこれがかなり詳しい。これはつまり、ある
程度前作のお話を知っていないと本作が理解できない心配が
あるからなのだが、実際、本作は前作と併せて1本と言って
いいほどのものだ。
大体、上記の前作の物語がそのまま終わりでは、いくらなん
でも無責任というもので、プレス資料には、前作のスタッフ
キャストが全員再結集などと書いてあったが、その計画が当
初から無かったとはとうてい思えないものだ。
もちろん、前作がそれなりの成績を上げたから実現したので
はあるのだろうが…実現しなかったら、前作を見た人にはか
なりフラストレーションになりそうだから、まずは良かった
というところだ。
実は試写の後で、宣伝の人から「たまにはこんな軽い話も良
いでしょう」と声を掛けられた。全くその通りで、正直に言
って深刻に悩むようなことなどは全く無いお話。それも、作
り手の割り切り方が気持ち良くさえ感じられる、そんな作品
だった。
主演は、安田美沙子と柏原収史。これに元グラビアアイドル
やレースクィーン出身という脇役陣だが、それほどひどい演
技という感じではなかった。他に、村野武範、乱一世、飯尾
和樹、『百獣戦隊ガオレンジャー』の金子昇、『牙狼』の小
西大樹らが共演している。
映画史に残るという作品ではないけれど、こういう作品もあ
ってこそ映画というものだ。

『パパにさよならできるまで』
    “Δύσκολοι αποχαιρετισμοί: Ο μπαμπάς μου”
1969年、アポロ計画の月着陸で世界が沸き返る中で、突然父
親を失った1人の少年の物語。
少年の父親は、自家用車にいろいろな商品を積み込んで売り
歩く行商人。各回の行商の旅は長く、いつも家を空けている
父親に母親と兄は不満が溜まっているが、主人公の少年は、
父親が帰宅した朝のベッドにそっと置かれたチョコレートが
楽しみだ。
そして帰ってきた父親には思い切り甘える少年だったが、そ
の父親は、「アポロの着陸の日には必ず帰る」という置き手
紙を残して次の行商の旅に出てしまう。ところが深夜の電話
に兄が出ると、父親が交通事故で死んだという連絡が届く。
しかし、父親の置き手紙を信じる主人公には、その知らせが
信じられない。そして、それを理解させようとする兄や母親
との間に軋轢が生まれて行く。
プレス資料には、父の死が理解できないとあるが、主人公は
決して理解できていない訳ではないだろう。それは彼の行動
のそこそこに現れているものだ。それでも、ある意味、理解
できていないような振りをし続ける、そんなふうにも思える
物語だ。
幼い子供が、環境の変化に対応できずに行動して周囲を振り
回すという作品は、今までにもいろいろとあったが、どうし
てのあざとい作品になってしまうものだ。しかしこの作品で
は、そんな中でもお涙頂戴に陥ることもなく、子供の心情や
周囲の大人たちの姿を丁寧に捉えている。その点では見てい
て清々しく感じられもした。
アポロの月着陸に引っ掛けているせいもあるが、主人公がジ
ュール・ヴェルヌの『月世界旅行』の一節を朗読して、父親
の帰還を待ちわびるシーンなどもあり、そんな心情も僕とし
てはよく理解できるものだった。因に、エンディングには、

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12月10日(日)
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