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On the Production
by 井口健二
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■アンノウン、とかげの可愛い嘘、スネーク・フライト、カオス、エレクション、アジアンタムブルー、イカとクジラ
感じの作品だ。その狙いが的中することを祈りたい。
エロ雑誌だの、その現場に登場する清純な女性カメラマンだ
のと言われると、僕には話を作り過ぎのようにも感じてしま
うが、原作本は映画化されるほどに売れたのだから、その辺
のもの珍しさが評価されたのかな。正直に言ってその感覚は
よく判らない。ただこんなファンタシーも、たまにならあっ
ても良いかなという感じの作品ではあった。
なお、映画には女性の主人公が写したとされる水溜りの写真
が多数挿入されるが、これがなかなかの雰囲気を作り上げて
いた。これらの写真は矢部志保という人が映画のために撮り
下ろしたもののようだが、テーマの捉え方の面白さもあって
かなり生きている感じがした。
できたら上映館で写真展でも開いてもらって、近くでじっく
り見たい気もした。
後は、映画の後半を締めるフランスのシーンも良い感じだっ
た。コクトーと言われても、今の日本の若い世代にどれだけ
通用するものか判らないが、『オルフェ』に驚嘆した世代と
しては素敵なプレゼントをもらった感じだ。
また、港町の前の小さな入り江を大きな水溜りと見なす、空
撮も含めた撮らえ方は、この作品に対する製作者たちの愛情
も感じられて素晴らしいものだった。
監督の藤田明二は1948年生まれ、脚本の神山由美子は1958年
生まれ、共に今まではテレビで主に仕事をしてきた人たちの
ようだが、安定したストーリー展開や演出の巧みさはさすが
ベテランという感じがした。
共演は、小島聖、佐々木蔵之介、村田雄浩、小日向文世、高
島礼子。この顔ぶれも見慣れてきた感じだ。また、劇中音楽
のピアノ演奏は、現役音大生でもある松下が行っているそう
だが、その演奏場面は登場しない。

『イカとクジラ』“The Squid and the Whale”
ウェス・アンダースン監督が2004年に発表した『ライフ・ア
クアティック』で共同脚本を担当したノア・バームバックの
脚本・監督による作品。製作はアンダースン。なお、本作の
脚本は今年のアカデミー賞脚本賞にノミネートされた。
両親が作家という家庭。しかも父親の作品は高尚でなかなか
売れないが、母親は人気作家になりつつある。そんな家庭環
境は当然危うさに満ちている。そんな家庭に暮らす2人の息
子の物語。そしてある日、父親が家を出ると宣言する。
この両親の離婚によって、子供の養育は共同監護で行うこと
になるが、それは曜日ごとに2つの家を行き来するという子
供の人権を全く無視した制度。そんな環境の下で兄弟は共に
問題を起してセラピー通いとなるが、それでも本当の悩みに
は誰も気づいてくれない。
実は、バームバック監督自身が両親ともに映画評論家という
家庭に育っており、この作品は多分に実体験に基づいている
ようだ。とは言うものの、描かれている物語は、多かれ少な
かれどんな家庭にも起こりそうなものであり、アメリカほど
ではないにしても離婚が増加している日本でも共感を呼ぶ内
容といえる。
特に、子供の意向を無視した共同監護というシステムは、日
本では認められているものかどうか知らないが、かなり非人
間的なシステムで、アメリカでこのようなことが通常行われ
ているということには驚かされた。
出演は、両親役にジェフ・ダニエルスとローラ・リニー。2
人息子をジェス・アイゼンバーグとオーウェン・クライン。
なおクラインは、ケヴィン・クライン、フィービー・ケイツ
夫妻の子供だそうだ。他に、アンナ・パキン、ウィリアム・
ボールドウィンが共演。
なおバームバックは、アンダースン監督の次回作で、ロアル
ド・ダールの原作を映画化する“Fantastic Mr.Fox”の共同
脚本も手掛けている。因に、本作の製作はアンダースンが行
っているもので、2人の関係はかなり良好のようだ。
ただし、本作の字幕で、家を出た父親の引っ越し先が「公園
の向こう側」というのは、確かに原語の台詞もparkだったよ
うだが、ニューヨークでパークと言うとセントラルパークを
指すもので、そこらの町中の公園とは訳が違う。その辺のニ

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09月30日(土)
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