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On the Production
by 井口健二
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■百年恋歌、合唱ができるまで、レディ・イン・ザ・ウォーター、世界最速のインディアン、13の月、椿山課長の七日間、アントブリー
箔を付けてからの公開でも良かったようにも思える。東京国
際映画祭のマーケットには出品してもらいたいものだが。
『椿山課長の七日間』
浅田次郎原作によるファンタシーの映画化。
突然死した主人公が、天国へ向かう前、初七日までの間だけ
地上に戻って最後の想いを遂げることを許される。ただし、
地上に戻ることを許されるには厳しい審査があり、その日は
75人の希望者の中から3人だけが選ばれる。
その1人は生前はやくざの親分で、彼の想いが通じないと無
益な殺生が行われてしまう。もう1人は12歳の少年で、生み
の親に会いたいという。そして主人公は、重大な秘密を知る
ために地上に戻されるというのだが…
西田敏行演じる主人公が甦った姿は、伊東美咲演じる女性。
綿引勝彦のやくざの親分は、成宮寛貴の美容師。伊藤大翔の
少年は志田未来の少女へと姿を変えられ、それがいろいろな
ドラマを生み出して行く。
浅田原作のファンタシーの映画化は、『地下鉄に乗って』に
続けてだが、前の作品と同様、この作品でも、主人公たちが
状況を的確に把握して、それを最大限利用して行くところは
気持ちが良い。SFやファンタシーに対する理解が充分に感
じられる。
そして物語では、主人公に隠された重大な秘密が徐々に解き
明かされ、それが笑いや涙を誘って行く。そこには、矛盾や
御都合主義もあまりないし…と言うか、天国の案内人は、こ
うなることを最初から把握してこの3人を選んでいるのだか
ら、最後は見事にパズルが納まるものだ。
上記以外の配役は、天国の案内人役に和久井映見、この人の
笑顔は何時も後ろに何か隠しているように感じるが、その雰
囲気がこの作品にはピッタリだ。また主人公の息子に須賀健
太、この夏公開の『花田少年史』に続いて死者の甦りに憑か
れる役。他に、國村隼、余貴美子、桂小金治、市毛良枝らが
共演している。
監督は『子ぎつねヘレン』の河野圭太、脚色は『風花』の川
口晴。CGIの制作者を確認できなかったが、中陰役所と呼
ばれる天国への入り口の雰囲気はなかなか良かった。
『アントブリー』“The Antbully”
いじめられっ子で、その腹いせに庭の蟻の巣に水を注入する
など蟻いじめ(antbully)していた少年が、蟻サイズにされ
て蟻の社会で活躍する冒険物語。
ジョン・ニックルの原作から、アカデミー賞候補にもなった
『ジミー・ニュートロン』のジョン・A・デイヴィスが脚色
監督したCGIアニメーション。製作は、『ポーラー・エク
スプレス』を手掛けたトム・ハンクス主宰プレイトーン。
主人公のルーカス・ニックルは、小柄で華奢で眼鏡で、何時
も近所のがき大将から「押しつぶし」などのいじめに逢って
いる。そんなルーカスは腹いせに庭の蟻の巣を水浸しにする
など蟻いじめを続けていた。
一方、その巣に暮らす雄蟻の魔法使いゾックは、長年の研究
の末、ついに人間の体を縮小する魔法の薬を完成する。そし
てその薬を使って、何時も蟻いじめしているルーカスを蟻サ
イズにしてしまうことに成功する。
こうして蟻の国に連れてこられたルーカスは、女王蟻の裁決
でゾックの親友の雌蟻ホーバに預けられ、蟻の社会での基本
教育として、友情やチームワークの大切さを学ぶことになる
が…元から人間嫌いのゾックはそれに大反対だ。
しかし、雄の偵察蟻フーガックスや、食料調達隊長の雌蟻ク
リーラから、蟻社会に大切なことを教育されるルーカスは、
徐々に蟻の知恵を身に付けて行く。
友情だのチームワークだのと言われると、普通に作るとかな
り臭くなりそうな題材だが、そこはハリウッド作品、純粋に
冒険物語として楽しめるように作られており、大人の目でも
結構楽しめる作品だった。特に後半は、他の昆虫たちも巻き
込んだ大騒動が繰り広げられるものだ。
他愛もないと言われればそれまでだが、別段悪い作品でもな
いし、子供たちに夢を与えられればそれで充分だろう。
ただ、日本での上映は、お子様向けに吹き替え版のみとなる
ようで、試写も吹き替えで行われたものだが、大人の意見と
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09月29日(金)
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