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On the Production
by 井口健二
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■Oiビシクレッタ、旅の贈りもの−0:00発、アダム、雨音にきみを想う、白日夢、もしも昨日が選べたら、待合室
予想外の操作ばかり行う万能リモコンに業を煮やした主人公
は、深夜の町で新しい万能リモコンを買い求めるが…
終夜営業の量販店の奥に迷い込んだ主人公は、そこでクリス
トファー・ウォーケン扮する怪しい発明家然とした男から、
自分の人生を巻戻して見たり、フリーズや早送りもできる万
能リモコンを手に入れる。それは自己学習機能も付いた優れ
ものだった。
こうして、口うるさい妻の要求や渋滞の時間ロスを早送りし
たり、音声ミュートやバイリンガル機能を有効に使いこなす
ようになった主人公だが、そこには大きな落し穴が待ってい
た。物語としては、ディケンズの『クリスマス・キャロル』
を思わせるもので…と言ってしまうとネタばれになるが、そ
ういう感じの作品だ。
厳しい内容を、笑いのオブラートに包んで提示して見せるの
は、ハリウッドコメディの定番と言える作品でもある。
内容的には悪くないと思う。特に後半の自分が原因で人生が
ドツボに填って行く過程は、同じように忙しく働かされてい
る現代人にはドキリとさせられ、身に染みて感じる人も多い
だろう。その点では、サンドラー作品の中では日本人にも判
りやすい作品と言える。
中では日本人企業家集団が出てきたり、ヤンキース松井の映
像や、イチローの話題も飛び出すなど、ちょっと日本人を意
識しているとも言えそうな感じだ。もっとも、日本人の当事
者からすると、ちょっと苦笑いという感じでもあるが。
それと、飼犬がやたらマウンティングしたり、何かと下着を
見せるなど、ちょっと下品なギャグが目に付くのもサンドラ
ー作品の問題点で、特別な指定を受けていないからアメリカ
人には認められているのだろうが、日本人の感覚には…とい
うところもある。でもそういうことに目をつぶると…
本作は見事にファンタスティックで、またそれを支えるVF
Xなどの使用も見事に決まった作品と言える。特に、サンド
ラーやベッキンセールが若くなったり老けたりの特殊効果や
視覚効果は見事なものだ。
サンドラー作品の中でも、特にファンタシー物は、日本では
ちょっと評価されていない感じがする。実際、僕も評価して
いない作品もあるが、本作はその中では判りやすいし、とり
わけSFに理解のある人には受け入れてもらえそうな感じが
した。
『待合室』
富司純子と寺島しのぶが母娘初共演した作品。と言っても、
2人が演じるのは、主人公とその若い頃の役で、直接の顔合
せはないものだが。
東北岩手の小繋駅。東北新幹線の八戸営業開始により「いわ
て銀河鉄道」と呼ばれるようになった路線の小さな駅。その
駅はJRの寝台急行や貨物列車はノンストップ通過して行く
が、3両編成の旅客列車が地元の人たちの通勤通学の足とな
っている。
そこの待合室に置かれた数冊のノート。そこには駅を訪れた
人たちのいろいろな思いが綴られ、その綴られた文章に一つ
一つ返事を書く女性がいた。
映画の中でも語られるが、通りすがりの旅人が書いたものに
返事を書いても、それが読まれる可能性はほとんどない。で
もそこに書かれた事柄は、他の旅人の目に触れ、それがまた
別のドラマを作り上げているのかも知れない。
映画は、その返事を書き続ける女性の人生と、そこに記入を
して行く旅人のエピソードを綴りながら、岩手県でも北部に
位置するこの駅の周囲の四季が見事に写し出されて行く。
物語は、「命のノート」と呼ばれるそのノートの実話からイ
ンスパイアされたものだが、描かれるその女性の人生は、ど
こまでが実話でどこからがフィクションかは判らない。
とは言え、雪深い駅周辺の冬の風景は紛れもない実景だし、
そこで綴られる物語は、それはそれとして理解すればいいも
のだろう。ただし、全体に「死」が多く語られているのは気
になったところだが…
脚本は任侠シリーズなどを手掛けてきた板倉真琴。彼の監督
デビュー作でもある。
それにしても見事な雪景色で、それがまた見事に写されてい
る。撮影はフランス・トムソン社製のHDヴィデオカメラで
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08月31日(木)
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