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On the Production
by 井口健二
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■トンマッコル、サッド・ムービー、遙かなる時空〜、靴に恋する〜、地下鉄に乗って、地獄の変異、サイレントノイズ、ユアマイサンシャイン
『地獄の変異』“The Cave”
鍾乳洞を舞台に繰り広げられる怪奇アクション。
事件の発端は30年前。当時は共産主義国家だったルーマニア
の山間部で、男たちの一団の乗った軍用トラックが、立入禁
止の標識の立てられたバリケードを突破、山路を侵入してく
る。彼らの狙いは、その奥にある廃虚となった教会。しかし
謎めいたモザイクの施された床を破壊して、彼らが入り込ん
だ地下の洞窟には、何やら異様な雰囲気が漂っていた…
そして30年後、地下生物を研究する学者たちが、倒壊した教
会の下に巨大な鍾乳洞の入り口を発見。その調査のため、中
米のユカタン半島で海底洞窟の調査に当っていたチームが招
請され、プロのサポートを受けた探検隊が鍾乳洞の調査を始
めることになるが…
アメリカ配給はソニー傘下スクリーン・ジェムズが行った作
品で、同社の系統で言うと、『アナコンダ』などの秘境モン
スターものに通じる感じだ。状況に詳しいプロがいて、その
サポートで行われる探検が、それでも恐怖の事態に陥るとい
う展開は共通している。
物語は、当然洞窟の中に怪物がいるものだが、本作ではその
怪物の設定にもちょっと捻りが在るのは面白かった。因に、
怪物のデザインは、『GODZILLA』から『サイレント
ヒル』までも手掛けるベテランのパトリック・タトポロスが
担当している。
それに加えて本作では、洞窟探検の様子をかなり丁寧に見せ
てくれる。そして、そこでのアクションも、潜水やフリーク
ライミングと盛り沢山。さらに美しく撮影された洞窟内の素
晴らしさは、鍾乳洞や洞窟探検が好きな人にも、ちょっとお
勧めしたくなるくらいのものだ。
なお、プレス資料などには解説がなかったが、洞窟内の撮影
にはユカタン半島の鍾乳洞が使われているものだ。つまり、
映画の物語ではユカタンからチームが呼ばれているが、実際
は撮影隊がユカタンに移動したというのも愉快なところだ。
ただし、水中シーンはブカレストの撮影所にフットボールの
グラウンドほどもあるプールを作って撮影したとのこと。そ
して、その洞窟内と水中シーンの撮影には高感度のHDカメ
ラが使用されて、素晴らしい効果を上げているものだ。
『サイレント・ノイズ』“White Noise”
EVP(Electronic Voice Phenomena)=電磁波を媒介とし
て死者の声が現世に伝えられる、という現象を描いた怪奇ド
ラマ。なお、真偽のほどは明らかではないが、映画の巻頭で
は、この現象に言及したとされる発明王エジソンの言葉も引
用されている。
最愛の人を不慮の事故で亡くしたとき、残された人が欲する
のは、失った人の声を、姿をもう一度を聞きたい、見たいと
いうこと。そして、その手段としてEVPの存在を知ったと
き、主人公の周囲に怪奇な現象が起こり始める。
昔のEVPは、多分音声中心だったのだろうが、現代ではこ
れがVTRに取って変わる。空きチャンネルの空電を録画し
たテープの映像と音声をコンピュータに取り込み加工しなが
ら、EVPを求めて行く。その過程も現代的でなかなか良い
センスだった。
因に、原題のwhite noiseというのは、電気用語では、対象
とする周波数帯域で、全ての周波数の信号を一様に含む雑音
のこと。逆にそこからは全ての信号(情報)が取り出せると
もされ、その中から反重力の原理を見つけ出すというSF短
編を、昔雑誌で読んだ記憶がある。
本作では、その中から死者の声と姿を取り出すというものだ
が…。まあ、上記の理論からすると、そんな設定も理解でき
ないことはない。ただし、本作は飽くまでもEVPという現
象が前提となっている作品だ。
従って、作品のジャンルとしてはホラーだが、科学的な側面
の捉え方からすると、SFと呼べないこともない。
主演はマイクル・キートン。それにチャンドラ・ウェスト、
デボラ・カーラ・アンガー、イアン・マクニースらカナダ、
イギリスの俳優が共演している。また、監督以下のスタッフ
は殆どイギリス人による、カナダ=イギリス合作映画だ。
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08月20日(日)
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