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On the Production
by 井口健二
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■クリムト、西瓜、ミラクルバナナ、愛と死の間で、サラバンド、夢遊ハワイ、マイアミ・バイス
因に、題名の「サラバンド」というのは、古典音楽のジャン
ル名だそうだが、映画ではその代表的な作品としてバッハの
「無伴奏チェロ組曲第5番」が紹介され、父娘のチェロの練
習を巡る葛藤にもつながっている。
それにしても、見事な台詞に満ち溢れた作品で、1時間52分
の中に、一度では聞き切れないほどの珠玉とも言える台詞の
数々が登場する。80歳過ぎの監督がこれだけの素晴らしい台
詞を脚本にしたというエネルギーにも敬服してしまう。
しかも、老元夫婦と音楽家の親子という、それぞれ普通では
ない家族の話だから、語られる台詞は全て創作のはずなのだ
が、その台詞がそれぞれの状況を見事に描き出すと共に、そ
の一方で普遍的な家族をも描く台詞になっているのだから、
これは本当に素晴らしい。
正に、台詞の宝箱と言えるような作品。一度ならず鑑賞して
流れるような台詞を何度も堪能したくなる。
なお公開は、ベルイマンの要望によりHD上映のみで行われ
ることになっており、出来れば既存の映画館より、HD設備
の整ったホールなどでの上映を期待したいものだ。
『夢遊ハワイ』“夢遊夏威夷”
2004年の東京国際映画祭「アジアの風」部門で上映された台
湾作品。
最近、映画祭を含め台湾の作品を見る機会が増えているが、
どの作品も非常に雰囲気が似通っている。元々台湾映画は、
本国ではほとんど興行的に成立していなかったようだが、こ
こ数年、少しずつ改善が見られているのだそうだ。
その切っ掛けとなったのが、2002年の東京国際映画祭のコン
ペティション部門に出品された“藍色大門”(日本公開題名
『藍色夏恋』)なのだそうだ。僕は当時この作品を見ている
が、実はその時にはあまり評価することが出来なかった。
というのも、その作品が1970年代のATG作品を思わせ、全
体に古臭いというか、現代映画の感覚から遊離している感じ
がしたものだ。ところが、その作品の雰囲気が、その後の台
湾映画に共通しているのだから、その影響力の大きさを感じ
てしまう。
本作も、そんな流れの中にある台湾作品と呼べるものだ。
物語の主人公は、兵役が終了間際の若者。ある日、彼は初恋
の女性が浜辺で死んでいる夢を見る。そんな主人公が、特別
休暇と称して脱走兵を連れ戻すための極秘任務を与えられ、
同僚と共に脱走兵の故郷へと向かうが…
その前に主人公は初恋の女性の安否を確認したりして、いろ
いろな出来事が生じて行く。
兵役という辺りで、日本の現実とは違ってしまうが、それは
韓国映画やアメリカ映画でも登場するシチュエーションだか
ら理解はできるつもりだ。でも、その他の点でも何か全体の
雰囲気が現実離れしている。
それは題名にもある「夢遊」の世界の話なのだから、全体を
ファンタシーとして見ればいいのだろうが、逆に、「こんな
ファンタシーばかり描いてて良いの?」と言いたくなってし
まう感じだ。それが最近の台湾映画に共通した感覚かも知れ
ない。
でも、まあファンタシーと割り切ってしまえば、映画自体に
はATG作品を思わせる懐かしさもあるし、そしてそれが自
分の青春時代でもあった訳だから…。それで、この映画の主
人公たちにはちょっと共感してしまうところもあった。
兵役以外にもいろいろと特殊なシチュエーションは登場する
が、それぞれは理解できる範囲であったりもするし…そんな
感じの作品だ。
『マイアミ・バイス』“Miami Vice”
1984〜89年に米NBCで放送された同名テレビシリーズの映
画版。
中南米などの犯罪コネクションが集まるマイアミを舞台に、
マイアミ警察特捜課(Vice)の潜入捜査官ソニーとリコが、
本作では、FBIのなど連邦機関による合同捜査で漏洩した
捜査情報の漏洩元を探るべく、特別任務に従事する。
実はテレビシリーズは見ていないのだが、当時はMTV Copな
どとも呼ばれ、最新のヒット曲に彩られたハードなアクショ
ンが大人気を得ていたということだ。そして今回は、その映
画版を、シリーズも手掛けたマイクル・マンが念願の企画と
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07月31日(月)
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