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On the Production
by 井口健二
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■ポセイドン、ハイジ、僕の世界の中心は君だ、バタリアン4、ウルトラヴァイオレット、王と鳥、サイレントヒル
システム=シネアルタが採用されている。ジョヴォヴィッチ
の顔が皺もしみもないCGキャラクター的なのは、ディジタ
ル撮影の映像を後処理した結果のようだ。その他のCGIと
の繋がりも良いように感じられた。
因に、エンドロールでは、シネアルタのCAのロゴマークが
久しぶりに見られたが、確か『ヴィドック』のプロモーショ
ンでは巻頭用のアニメーションロゴも紹介されはず。そろそ
ろ4Kのシネアルタも完成されているだろうし、今後の巻き
返しもあるのだろうか。

『王と鳥』“Le Roi et I'Oiseau”
1952年のヴェネチア映画祭で特別賞を受賞したポール・グリ
モー監督の『やぶにらみの暴君』を、1979年にグリモー自身
が改作・完成させた作品。
実は、52年版は途中で製作資金が尽き、製作者が未完のフィ
ルムを別の監督に委ねて辻褄だけを合せ完成させたもので、
監督の意図とは違うものだったのだそうだ。その作品に特別
賞を贈ったり、キネマ旬報でも1955年度の洋画ベストテン第
6位に選んだのだが…
その52年版の版権及びフィルムを1967年にグリモーが執念で
買い戻し、62分の原版から意図と異なる20分をカット、新た
なフィルムを継ぎ足して87分の作品として完成させたのが本
作ということだ。
僕自身は、多分1967年以前に行われたテレビ放映と、1970年
代に16mmフィルムを借りて行われた上映会で見た記憶がある
が、70年代に見た時には「世界中で見ることが出来るのは日
本だけだ」と聞かされた記憶もある。その理由は、上記の通
りだった訳だ。
その作品を、僕は30数年振りに再見したことになる訳だが、
物語の最初の部分はかなり正確に記憶していた通りだった。
しかし、途中でちょっと自分の持っていたイメージと異なる
シーンがあるように感じた。
それは監督の意図の通りに直されたのだし、今から思い返す
と、確かに物語の流れとは沿わない感じもするシーンだった
から、削除も仕方のないところではあるが、感動的に美しい
シーンでもあったので、ちょっと残念な感じはしたものだ。
それはともかく、本作は、50年以上も前に企画されたとは思
えないほどの現代に通じるところも多い作品で、むしろ現代
の方がこの作品に描かれた世界に近いのではないか、とさえ
思えるほどだった。
特に、キャッチコピーにも使われる「気をつけたまえ。この
国は今、罠だらけだからな。」という台詞は、現代にもピッ
タリと当てはまる言葉だろう。
なお、52年版の羊飼いの娘の声は、当時新進女優だったアヌ
ーク・エーメが当てていたものだが、今回の吹き替えは全面
的に新録音されていたようだ。

『サイレントヒル』“Silent Hill”
コナミ発売で最も恐いと言われるヴィデオゲームの映画化。
映画化に際しては、コナミでゲームの製作を担当した山岡晃
が製作総指揮として参加。また、監督のクリストフ・ガンズ
は、その起用を目指して30分のプロモーションを自主製作。
それをコナミの重役室で見せて了承を得たということだ。
つまり、この映画化にはコナミの影響力がかなり発揮された
ようで、その意味ではゲームのファンにも納得できる仕上が
りになっていると言えるだろう。
物語の発端は、主人公となる女性の一人娘が夢遊病に罹り、
その中でサイレントヒルという言葉を発する。そして、その
病が薬物治療では直らないと知った母親は、その名前のゴー
ストタウンの存在を突き止め、その謎を解くべく娘と共にそ
こに向かうが…というもの。
その町は数10年前に大火災を起し、以来ゴーストタウンと化
していた。しかも町の地下にある鉱山では今も火災が続き、
その灰が絶え間なく降り続いている。そして町に着くや娘は
姿を消し、母親は娘の探索と町の謎を解かなければ、町を脱
出できなくなる。
白い灰が舞い続ける異様な風景の中で、町の過去に隠された
怨念とその復讐の物語が展開する。しかもそれを、ゲームで
成功した恐怖感一杯の映像演出で見せてくれるのだ。その点
では、ゲームと映画の融合もうまくいっている感じがした。

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05月30日(火)
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