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On the Production
by 井口健二
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■第108回
れる作品だが、さらにこれに惑星表面上を自由に移動する超
能力を身に付けた人類が作り出す奇妙な未来社会の様子や、
それが引き起す惑星間戦争など、SF6冊分のアイデアと、
6冊分の悪趣味をブチ込んだとも言われる作品だ。
そしてこの原作の映画化に関しては、1996年頃にドイツの
コンスタンティンとフォックスの共同製作が立上げられ、こ
の計画は2002年頃までは生きていたようだが、結局実現しな
かった。今回はその映画化権をユニヴァーサルが獲得したも
ので、脚本家や監督などは未定だが、実績のある製作者の参
加は期待が膨らむところだ。
ところでべスターの作品では、もう1作“The Demolished
Man”(分解された男)という作品の映画化が以前から計画
されている。こちらは1953年に発表された原作だが、当時俳
優のホセ・ファーラーが映画化権を設定するなど、実は今回
紹介した作品より以前から、何度も映画化の計画が発表され
ては消えていたものだ。
そして現在、この作品に関しては、実は昨年2月1日付第
80回で紹介したブラッド・ピット主演“The Assassination
of Jesse James by the Coward Robert Ford”のアンドリュ
ー・ドミニク監督が計画を進めており、本当はこのピット作
品がなければ今頃撮影が開始されていたはずだったものだ。
今後のドミニク監督のスケジュールがどうなっているかは不
明だが、取り敢えずは現在もプレ・プロダクションの状態に
はなっているようだ。
ということで、べスター原作の映画化が相次ぎそうな情勢
だが、実は両原作とも盛り込まれたアイデアは物語だけでな
く、活字のデザインに工夫が施されるなど表現上でも実験的
な要素を含んでいたもの。そのため今まで映像化が見送られ
た経緯もあったとされている。これに対して、今回の計画で
どのような映像化が試みられるかは不明だが、現代のVFX
技術を駆使した挑戦が期待されるところだ。
* *
モンテ・ヘルマンという名前を聞いて「わっ」と言う人が
どのくらいいるか知らないが、ロジャー・コーマンの門下生
の一人で、1953年製作の“Beast from Haunted Cave”(魔
の谷)という作品が、日本公開もされている同監督の新作の
計画が紹介された。
作品は、直ぐ上の記事でも触れたブラッド・ピット主演作
“The Assassination …”の原作者でもあるロン・ハンセン
の小説を映画化するもので、題名は“Desperadoes”。やは
り西部劇でダルトン・ギャングを描いたものということだ。
キャスティングは未定だが、撮影は今秋アラバマで行われる
ことになっている。またこの作品の製作総指揮には、マーテ
ィン・スコセッシが名を連ねているものだ。
因にヘルマンは、コーマン製作で3本を監督した後、やは
りコーマン門下生のジャック・ニコルスン製作で西部劇など
を監督、その後も1970年代まではぽつぽつと作品はあるが、
80年以降では、89年製作のホラーシリーズ“Silent Night,
Deadly Night”の第3作の監督に名前が出ている程度。しか
し、実はその他にも名前を出していない作品が数多くあるよ
うで、またクェンティン・タランティーノ監督の出世作『レ
ザボア・ドッグス』では、製作総指揮に名前を連ねるなど、
映画界では実力者だったようだ。
なおヘルマン監督は、すでに全4話からなるデニス・バー
トック原作の超自然ホラーアンソロジーの1話で“Trapped
Ashes”という作品を完成させ、公開待機中ということで、
データによると1932年生まれ、今年73歳のベテランは、これ
からもう一と花咲かせることになりそうだ。
* *
1999年に話題を呼んだ“The Blair Witch Project”では
共同で監督及び脚本を担当したダン・マイリックが、それ以
来の脚本監督作品となる“Solstice”の撮影を、ニューオル
リンズで行うことが発表された。
内容は、双子の妹を自殺で亡くしたばかりの若い女性が、
友達と一緒に湖畔の家で夏至の夜を過ごすときの出来事を描
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04月01日(土)
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