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On the Production
by 井口健二
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■母たちの村、アンジェラ、バイバイママ、夢駆ける馬ドリーマー、トランスポーター2、ママが泣いた日、カサノバ
た格闘シーンや、悪の首領ジャンニの登場シーンの過激な剣
道、さらに2丁の軽機関銃を操るローラとの戦いなどアクシ
ョンの見所は満載。
たかがアクション、されどアクション。アクション映画も、
どうせやるならこの位はやって欲しいという観客の期待に見
事に応える作品と言えそうだ。しかも本作では、アクション
シーンで緊張して肩が凝るようなもこともなく、気軽に純粋
に楽しむことができる。
ステイサム以外の出演は、資産家夫妻をアンバー・ヴァレッ
タとマシュー・モディーン、ジャンニ役をイタリア名優ヴィ
ットリオの息子のアレッサンドロ・ガスマン、ローラ役をモ
デル出身のケイト・ノタ。また、前作の警部役フランソワ・
ベルレアンも再登場する。
なおベッソンは、ステイサムが演じる運び屋フランク・マー
ティンには、まだ描くべき物語があると考えているようだ。

『ママが泣いた日』“The Upside of Anger”
人間は、自分が理不尽な仕打ちをされたときに怒りでそれを
解消するしかないのか…
2006年シカゴ映画批評家協会賞でジョアン・アレンが主演女
優賞を獲得し、2005年サンフランシスコ映画批評家協会賞で
はケヴィン・コスナーが助演男優賞を獲得した作品。
デトロイト郊外で広い土地を所有し、4人の娘と暮らす主婦
テリーは、ある日、夫が家を出て行ってしまったことに気付
く。原因はスウェーデン人の秘書と思われ、数日前に帰国し
た彼女と駆け落ちをしたのだ。
そして、それまで優しかった母親は酒浸りとなり、娘たちの
行動にいちいちけちを付ける嫌みな母親になってしまう。そ
こには、近所に住む元大リーガーのデニーが、何くれと無く
世話を焼いてくれるのだが…、夫の仕打ちにテリーの怒りが
鎮まることはない。
こうして、ちょっとした発言の行き違いや、言葉尻を捕えて
は怒りをぶつけ合う、最悪な一家の生活が描かれて行く。
本当に行き場の無い怒りというのはこんなものだろう。それ
にちょっとした言葉の行き違いが言い争いに発展して行く様
は、自分たちの普段の生活でも経験しているものであり、そ
の辺りの様子が実に巧みに描かれる。
しかも全体はコメディであり、深刻な題材を見事にエンター
テインメントに仕上げた作品とも言えそうだ。脚本監督は、
出演もしているマイク・バインダー。元スタンダップ・コメ
ディアンという鋭い視線が、見事な作品を作り上げた。
その他の出演は、4人の娘を、『砂の惑星』がデビュー作の
アリシア・ウィット、テレビの『フェシリティの青春』のケ
リー・ラッセル、『フライトプラン』のエリカ・クリステン
セン、『ダウン・イン・ザ・バレー』のエヴァン・レイチェ
ル・ウッド。
若い女優たちが華やかだし、描かれる内容は実生活でも経験
する身近な話で、笑わされたり考えさせられたり、生活環境
は多少違うが、物語の全体は有りそうで無さそうで、悪くは
無いけど…面白い不思議な感覚の作品だった。

『カサノバ』“Casanova”
人類史上最高の「恋愛の達人」と呼ばれるカサノバの若き日
の冒険を描いた作品。これを『サイダー・ハウスルール』な
どのラッセ・ハルストレイム監督が映画化した。
ハルストレイム監督というと、今までの作品からは、人間の
悲しみを正面から見据えて描く生真面目な作風の人と考えて
いた。しかし本作は本質的にコメディ、元々監督のファンで
もある僕としては、最初は驚くと共に、すぐに大歓迎で楽し
んで観ることができた。
18世紀のヴェネチア。カサノバは今日も修道院に潜り込み、
神に仕える娘たちを楽しませていた。ところがそこに官憲が
現れ、カサノバは屋根伝いに逃亡、折しも大学の講堂で女性
の入学を検討している討論の場に飛び込んでしまう。
しかし結局捕えられたカサノバは、ヴァチカンから派遣され
た審議官の前に引き出され、不貞や異端行為などの罪で死罪
を申し渡される。これは、そこに現れた総督の取り成しで無
罪放免となるが、総督は彼に教会の目を逃れるため結婚する
ことを命じる。

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03月30日(木)
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