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On the Production
by 井口健二
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■SPL、プリティ・ヘレン、ヒストリー・オブ・バイオレンス、沈黙の脱獄、シムソンズ、トム・ヤム・クン!、スカイ・ハイ
『トム・ヤム・クン!』(タイ映画)
『マッハ!』のプラッチャヤー・ピンゲーオ監督、トニー・
ジャー主演、アクション監督パンナー・リットグライによる
新作。前作が世界各地で公開され、収入を挙げた彼らが、海
外(シドニー)ロケまで敢行した大型作品。
前作の主人公は、盗まれた村の守り神を探してバンコクの町
をさ迷ったが、今回は、幼い頃から一緒に育った象の親子を
探してシドニーの町をさ迷う。物語の展開は、同じと言えば
その通りだが、アクションは格段にスケールアップしている
し、新たな見所は満載だ。
数100年に亙って国王に献上する象を育ててきたタイ東部の
村。そこには、象と共に国王を護って闘うムエタイ兵士チャ
トウラバートの末裔が暮らしていた。
その村で象と共に育ってきたカーム(ジャー)は、ある日、
父親と共に王に献上する象を選ぶと称する品評会に親子の像
を連れて行くが…それは象の密売組織が仕組んだもので、父
親がそれに気づきカームが後を追ったものの、育てた象の親
子は行方不明になってしまう。
しかし、密売組織のルートがオーストラリアに向かっている
ことを察知したカームは、単身シドニーに乗り込み、そこで
「トム・ヤム・クン」という店名のタイ料理店が、その根城
であることを突き止めるが…
これに、在シドニーの中国マフィアの内部抗争やそれに蔓む
汚職刑事などのストーリーが絡むが、まあ正直に言ってそん
なストーリーはどうでも良く、見所は何と言ってもジャーの
格闘技アクションの見事さだ。
登場するのは、インラインスケーターやモトクロスライダー
らを相手にしたものや、カポエラからカンフーまでの各種格
闘技、さらに身長212cmの巨漢との対決など。そしてその白
眉は、4階建てのセットで進む4分間のノーカット長回しに
よる大アクションだ。
セットの建設に1カ月、リハーサルに1週間を掛けたと言う
このシーンでは、4階建てを駆け上がるだけでも大変だと思
われるところを、次々に襲いかかる敵や投げ込まれる家具な
どを打ち破りながら突進で、これ自体が映画史に残ると言っ
ても過言ではない。
前作の時には試写会でジャーの生の演武を見せられて、トリ
ックのないことを信じなくてはいけないと思わされたが、今
回はこの大アクションを見れば、全てが信じられるようにな
ると言えるもの。それにしても途轍もないアクションスター
が誕生したものだ。
共演は、前作にも登場したタイの人気コメディアンのペット
ターイ・ウォンカムラオ。彼の演技は、昨年東京国際映画祭
で上映された『ミッドナイト、マイ・ラブ』でも気に入った
ところだが、今回も人情味あふれる役柄は良い感じだった。
『スカイ・ハイ』“Sky High”
これぞディズニー、と言いたくなるようなファミリー向け特
撮アクション映画。
ディズニーと言えばアニメーションの老舗だが、第2次大戦
後の1950年にイギリスでの凍結資産消化のために製作された
という『宝島』を初め、最近にリメイクされた『フラバー』
『ラブバッグ』や、『ボクはむく犬』など特撮を活かした実
写作品にも伝統がある。
これらの作品は、最近のジェリー・ブラッカイマー製作によ
る超大作とは違うけれど、それぞれの時代の要素を敏感に取
り入れながらも子供に夢を与える、そんな楽しさに溢れたも
のだ。全米では昨年夏公開の本作は、その伝統を引き継ぐ最
新作と言える。
物語の舞台は、反重力装置で大空に浮かぶ所在地秘密の高校
スカイ・ハイ。そこには世界を守るスーパーヒーロー(ヒロ
イン)となるべき超能力を持つ子供たちが集められて、日々
スーパーヒーロー養成のための教育が行われていた。
しかしスーパーヒーローの卵といっても、そこは若者たちの
こと、学園生活は普通の高校と同じで、特に、入学直後の能
力判定で選別されるヒーロー組とサイドキック(脇役)組の
間では、ヒーロー組からサイドキック組に対する陰湿ないじ
めも横行していた。
そして主人公は、世界最高のスーパーコンビ、ザ・コマンダ
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02月13日(月)
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