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On the Production
by 井口健二
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■第103回
の村を舞台として、外界から孤立したその村を支配するチェ
コスロヴァキア軍の大佐と、その村を開放しようとするロシ
ア赤軍の革命家との対決を描いたもので、ロシア版『地獄の
黙示録』とも評価されている作品のようだ。またそこには、
キリスト教の一会派によるちょっと過激な宗教活動も背景に
描かれているそうだ。
 そしてこの革命家の役にデップと、大佐役にラッセル・ク
ロウの共演が期待されているとも伝えられている。といって
もこの配役は、イギリス人の映画ジャーナリストが期待して
いるもののようで、この2人が“Shantaram”の映画化権を
争ったことを知る者としてはちょっと痛いところだ。
 ただしこの映画化には、ハリウッドの大作というよりも、
ヨーロッパ映画の風格が求められるということで、その意味
でもヨーロッパ文化への理解に優れるデップの映画化権獲得
は、ベストな人材として歓迎されているようだ。また、原作
者のミークは「自作が小説以外の芸術形態に写されることに
興味はない」としながらも、「一つの芸術形態からのインス
ピレイションで、他の芸術形態において作品が生み出される
ことは素晴らしいことだ」としており、直接映画製作に関わ
る気持ちはないものの、映画化への期待も感じさせた。
 因に現状では、数千ポンドの手付け金が交わされただけの
ようだが、インフィニタム・ニヒルでは、先にニック・ホー
ンビー原作による“A Long Way Down”の映画化権の獲得に
際しては200万ポンドを支払ったとも報じられており、今回
もその規模の契約になりそうだ。
        *         *
 『オーシャンズ11』、『オーシャンズ12』に続くシリーズ
第3弾“Ocean's Thirteen”を、スティーヴン・ソダーバー
グ監督と、ジョージ・クルーニーの主演で2006年後半に撮影
することが、ワーナー傘下のプロデューサー=ジェリー・ワ
イントルーブから報告されている。
 この計画は、まだ初期の段階とされているものの、すでに
ブライアン・コッペルマンとデイヴィッド・レヴィーンによ
る脚本は完成しているようだ。そしてこの計画には、前ワー
ナー社トップのロブ・グラルニックも参加して万全の製作体
制が採られるということだ。
 なお、ソダーバーグ+クルーニーのセクション8とワーナ
ーの間では、昨年末の『シリアナ』の公開を巡って多少ギク
シャクしたところがあったようだが、これで関係修復となれ
ば万々歳と言うところだろう。ただし、すでに本拠をパラマ
ウントに移しているブラッド・ピットの去就は未発表だ。
 因に、ワイントルーブのプロダクション(JWP)では、
日本ではNHKが放送したテレビシリーズにもなったことの
ある少女冒険小説“Nancy Drew”の映画化を、1月31日の撮
影開始予定で計画している他、今年の賞レースで注目を集め
る“Brokeback Mountain”の脚本家チームのラリー・マクマ
トリーとダイアナ・オサナがそれ以前に完成させ、小説とし
ても発表している“Pretty Boy Floyd”というアウトローも
のの脚本の映画化権も獲得している。
 さらに、ワイントルーブ自身の回想に基づいて、彼とエル
ヴィス・プレスリーのマネージャーのトム・パーカー大佐と
の関係を描く“The Colonel and Me”という作品も計画され
ており、グラルニックの参加を得て、ますますワーナー傘下
のプロダクションの中核をなすことになりそうだ。
        *         *
 ニューヨークを舞台に数々の名作を発表してきたウディ・
アレンがヨーロッパに渡って、イギリスで撮影した“Match
Point”も好評に迎えられているようだが、さらにスペイン
での映画製作も計画していると伝えられた。
 因にアレンとスペインとの関係は、以前からたびたび同国
を訪れては休暇を楽しんだりジャズの演奏旅行を行ったりも
していたようだが、2004年には“Melinda and Melinda”の
ワールドプレミアを同国のサン・セバスチャン映画祭で行う
など思い入れも高いようだ。また、2002年にはスペイン王室

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01月15日(日)
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