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On the Production
by 井口健二
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■ダンサーの純情、コルシカン・ファイル、ワル、カースド、ミュンヘン、モルタデロとフィレモン、マンダレイ
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※
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『ダンサーの純情』(韓国映画)
『マイ・リトル・ブライド』のムン・グニョンと、韓国の若
手ミュージカルスターとして人気の高いパク・コニョン共演
によるダンスコンテストを競う若者たちを描いた作品。
パク扮するヨンセはプロのダンサーであり、優秀なトレーナ
ーでもあったが、以前のコンテストの直前に自らが育て上げ
たパートナーをダンス協会々長の息子に奪われ、さらに脚に
怪我を負わされてダンスの道を諦めかけていた。
ところが先輩から、中国北部延辺自治州在住の朝鮮族でトッ
プダンサーの女を偽装結婚して呼び寄せ、新たなパートナー
としてコンテストに再挑戦することを勧められる。そして渋
々女を迎えに行ったヨンセは、まだ幼さの残る少女(ムン)
に巡り会うが…
社交ダンスコンテストへの挑戦ということでは、『Shall We
ダンス』を連想させるが、この作品では韓国特有の社会情勢
や、一方でプロダンサー同士の熾烈な闘いなども描かれて、
かなり趣の違う作品になっている。
社会情勢の点では、偽装結婚に対する取り締まり等はかなり
コミカルに描かれているが、国としてのシビアな対応や、ま
た延辺自治州の存在などは、日本人では考えも及ばないとこ
ろだろう。
また字幕では判りにくいが、少女が何度も北の訛りを止めろ
と言われるのは、日本映画での地方出身者を馬鹿にするよう
な訛りの描き方とはかなり違うニュアンスが感じられる。
この種の社会情勢の違いは、韓国映画では常にどこかで感じ
られるものだが、隣国でありながらお互いを深く知ることの
できない日韓の間柄には、歯がゆさも感じるところだ。
ということはさて置いて、映画そのものは実はダンス初心者
だった少女をダンスコンテストのパートナーに仕上げるまで
のいろいろな経緯が描かれる。そこには、本当の初歩からの
鍛練やプロ特有の大技なども織り込まれて、大技には多少や
りすぎの感じもあったが、全体はテンポも良く判りやすく描
かれている。
もっともこの辺は、『Shall We…』とも被るところではある
が、そこは韓国の妹と呼ばれるムンの可憐さというか、健気
さが前面に押し出されて、ファンには堪らない魅力というと
ころだろう。しかも、ダンサーのパクらがそれをしっかりと
支えるから、ダンス自体もかなりの見所になっている。
因にムンのダンスは、全くの初心者からの猛特訓の成果だそ
うだ。一方のパクは、本来はミュージカルダンサーだが、そ
の癖がスポーツダンス(社交ダンス)の邪魔になったという
辺りは、バレリーナの草刈民代が苦労したのと通じるところ
もありそうだ。
この作品で韓国にダンスブームが起きたかどうかは知らない
が、とりあえずは、『マイ・リトル…』でムンを気に入った
人には絶対お勧めと言える作品だ。
『コルシカン・ファイル』“L'Enquête corse”
『おかしなおかしな訪問者』などのジャン・レノとクリスチ
ャン・クラヴィエ共演によるコルシカ島を舞台にしたアクシ
ョン・コメディ。
クラヴィエ扮するパリの探偵ジャック・パーマーは、コルシ
カ島在住の遺産相続人のアンジュ・レオーニ(レノ)を探す
依頼を受け、コルシカ島に降り立つ。そして街でレオーニの
所在を訊ねるが、人々は口を噤むばかり。それもその筈、レ
オーニは島の民族主義者のリーダーで、警察が血眼になって
所在を追っていたのだ。
そうとは知らずパーマーは、シャイでよそ者を嫌う島民たち
の間で聞き込みを続け、徐々に信頼を得て、ついにレオーニ
の元に辿り着くが…これに、レオーニら民族主義者の活動も
絡めて描かれる。
コルシカ島は、ナポレオンの生地として知られるが、元々フ
ランスに占領されたという意識が強く民族運動も盛んで、公
用語はフランス語だが独自のコルシカ語の教育や放送も行わ
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01月30日(月)
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