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On the Production
by 井口健二
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■第102回
の製作には2年間掛かり切りになり、その後にリフレッシュ
休暇を取れたということで、鋭気は充分なようだ。
 その1本目は、監督自身が脚本を執筆した“Ten Items or
Less”と題された作品で、モーガン・フリーマンとパッツ
・ヴェガの共演により、1月からの撮影が予定されている。
 この作品は、監督の周囲でよく見掛ける成功へ道の閉ざさ
れたマイノリティ社会の人々を描いており、そこからの脱出
を図る主人公を中心にした物語ということだ。そしてこの脚
本は、実は『レモニー…』の前に完成されていたもので、ヴ
ェガにはその時点で出演が依頼されていたようだ。その計画
がようやく実行されるものだ。製作は、フリーマン主宰のリ
ヴェレイションで行われる。
 2本目は“Juno”という作品で、ディアブロ・コーディと
いう脚本家による青春コメディ。自らの妊娠を知った10代の
女性が出産を決意し、そのために周囲のいろいろな既成概念
と闘って行く姿を描いたものということだ。製作費は800万
ドルで春からの撮影が予定されている。製作はマンデイトと
いうインディーズの映画会社だ。
 因に、1本目の作品も製作費1000万ドル以下ということだ
が、シルバーリングは大型の作品の間には、こういうインデ
ィ系の作品を監督して本来の姿を取り戻したいのだそうだ。
 そして3本目に予定されているのが、“The Crusaders”
というニューライン製作による作品で、この映画が次の大型
作品ということになるようだ。
 この作品は、合衆国初のアフリカ系の最高裁判事となった
ターグッド・マーシャルを描いたもので、ジャック・グリー
ンバーグの回想録“Crusaders in the Courts”に基づき、
1954年に最高裁判所で争われたブラウン対教育委員会の裁判
を描いている。この裁判では、学校における人種分離の問題
が争点となり、ダヴィデとゴライアスの戦いと評されたこの
裁判で、グリーンバーグはマーシャルと共に歴史的な勝利を
納めたというものだ。
 そしてこのマーシャル役を、“Crash”(クラッシュ)の
演技でオスカーの呼び声も高いテレンス・ハワードが演じる
ことが発表されている。因にハワードは、この役を得るに当
って、自身が表紙を飾っている映画雑誌とマーシャルが表紙
の1950年代のタイム誌を監督に送って、その熱意を表明した
そうだ。また本作の脚色には、テレビの“West Wing”を手
掛けるポール・レッドフォードとローレンス・オドネルの起
用も発表されている。
 そしてこの作品が、2006年後半に予定されて年間3本目と
なるものだが、実はこの計画自体はまだ初期の段階というこ
とで、決定には人気者のハワードのスケジュール次第という
面があるようだ。なおハワードには、他にスパイク・リーの
脚本監督によるヘヴィ級チャンピオン=ジョー・ルイス伝記
映画の計画もあるそうで、スケジュールは流動的なようだ。
        *         *
 ワーナーは、パラマウントが計画を放棄したアクション作
品“The Watchmen”の権利を獲得して映画化を目指すことに
なった。
 この計画は、元々はDCコミックスの原作を映画化するも
ので、アラン・モーアとデイヴ・ギボンズにより1980年代に
発表された全12巻のシリーズに基づく。このシリーズでは、
1950年代に似た現実とは異なるアメリカを舞台に、ヒーロー
の大半が引退したり、無法者になってしまった時代を背景と
して、その世界で普通の男性がスーパーヒーローの衣装を身
に付け、悪に立ち向かって行く姿を描いたもの。やがて彼は
様々な事件を追う内に、ヒーローたちがいなくなった謎に迫
って行くというお話のようだ。
 そしてこの計画は、最初は2001年にユニヴァーサルがデイ
ヴィッド・ハイターと7桁($)の契約を結び、脚色と監督
を行う計画だったが頓挫。その後パラマウントが権利を獲得
して、昨年の夏にイギリス人監督のポール・グリーンバーグ
を起用してロンドンで撮影する計画も立てられた。しかし、
これも製作費の高騰などで断念されたということだ。

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01月01日(日)
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