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On the Production
by 井口健二
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■第99回
of the Dog in the Night-Time”という作品を脚色監督す
る計画があったために降板を余儀なくされていた。しかしそ
の計画が頓挫してしまい、改めて第6作の脚色に復帰となっ
たもので、いよいよ佳境となる物語をどのように脚色するか
注目されるところだ。
 なお、僕は原作の第6巻をすでに読み終えているのだが、
この巻は、次回の最終巻に向けてかなり溜めに入っている感
じもして、派手なアクションなどは相当に抑えられている。
その分、人間関係などは克明に描かれているのだが、さてこ
れを映画化するには、脚色に相当の力量が要求されそうだ。
ここにベテランの復帰は心強いが、大変な作業になることは
変わりがないものだ。
        *         *
 東京国際映画祭では、女性タレントとの2ショットばかり
が話題になっていた『ブラザーズ・グリム』のテリー・ギリ
アム監督だが、続いて行われたロンドン映画祭の記者会見で
は、今後の映画製作の計画についての質問にも答えている。
そしてその回答として、2000年9月に撮影開始されて直後に
中断された“The Man Who Killed Don Quixote”の製作に再
開の可能性が出てきたということだ。
 この製作が中断に至った経緯については、2003年2月に紹
介したドキュメンタリー作品“Lost in La Mancha”でも詳
しく報告されていたものだが、撮影の行われたスペインの高
地が突然大雨に見舞われたり、上空をNATOのジェット戦
闘機が飛び交ったり、挙げ句にキホーテ役に起用されたフラ
ンス人俳優ジャン・ロシュホールの体調が不良となって、結
局それが引金で撮影開始6日目に製作が断念されたものだ。
 この結果、それまでの撮影準備などに掛かった経費に対し
ては保険金が支払われることになったが、その引き換えに映
画の脚本は保険会社の管理下に置かれ、その許可無しにはこ
の映画の製作は出来ないこととなっていた。
 しかしここに来て、フランスの製作会社が保険会社に対し
て脚本を取り戻すための交渉を開始、つまりそれは必要な金
を払って脚本を買い戻すと言うことだが、その交渉がまとま
りつつあるようだ。またギリアムは、先に行われたトロント
映画祭で主演のジョニー・デップと会って話し合ったことも
認めており、デップも再度主演することを了承しているとい
うことだ。
 ということで、“The Man Who Killed Don Quixote”の製
作が再開できるかも知れないことになったものだが、撮影が
中断された2000年当時と今とでは、主演のデップの人気のス
ケールもずいぶんと拡大してきており、この時期に本人が乗
り気の作品となったら、これは製作会社としては、いくらお
金を積んでもぜひとも実現したいと言うのが本音だろう。も
ちろんギリアムもそれを見込んで、最初にデップの了承を得
に行ったのだろうし、これは再開の可能性もかなり高いと見
て良さそうだ。
 ただし、現状では前回製作が中断された原因については何
も解消されていないもので、このまま再開しても同じ事態に
なる恐れは多分にある。しかしこの点についてギリアムは、
「前の撮影では自分のやり方を守れなかったところがある。
そのことは後で皆に指摘されたが、今度は自分のやり方を貫
いてやれる」としており、ギリアム自身も前の時とはずいぶ
んと違ってきているようだ。
 因にデップは、“The Pirates of the Caribbean”の2本
の続編の撮影とその仕上げに来年の初旬までは掛かりそうだ
ということだが、その他にも、以前から紹介している“The
Rum Diary”や“Shantaram”、“The Diving Bell and the
Butterfly”などの計画が山積みになっている状態。でも、
ここはぜひとも再開を祈りたいものだ。
        *         *
 またまたヴィデオゲームからの映画化で、コナミから発表
されているヴァンパイアもののシリーズ“Castlevania”の
映画化をポール・S・アンダースンの脚色と監督で進めるこ
とが発表された。
 このゲームは1986年に第1作が発表されたという長寿シリ

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11月15日(火)
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