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On the Production
by 井口健二
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■第97回
った一人の大学教授の人生を描いたもの。これにより主人公
は、祖国ルーマニアから、スイス、マルタ、そしてインドへ
と旅を続けたというものだ。出演者には、ティム・ロス、ア
レクサンドラ・マリア=ララ、ブルーノ・ガンスらの名前が
上がっている。撮影は10月3日にブカレストで開始された。
 なお原作には、1920年代のシュールレアリズムの影響も見
られるそうで、その辺をコッポラがどのように処理するかに
も注目したい。また最近は、娘ソフィアの監督に注目の集ま
ることの多かったコッポラ家だが、ここらで父親の実力も見
せてもらいたいところだ。
 それにしても、主人公はインドまで旅するようだが、言わ
れているような低予算作品で、そのようなロケーション撮影
は一体どうするのだろうか。
        *         *
 『デイ・アフター・トゥモロー』では、新たな氷河期の到
来の恐怖を描いたローランド・エメリッヒ監督が、今度は前
の氷河期を舞台にした物語を描くようだ。この作品は、エメ
リッヒと、『デイ・アフター…』の音楽も手掛けた作曲家の
ハラルド・クローサーが考えた物語を映画化するもので、題
名は“10,000 B.C.”。氷河期に掛かる先史時代の人類にお
ける3つの進化の段階を描くとするものだ。
 具体的な物語は、原始人たちの集団の中で暮らす21歳の若
者を主人公に、彼らは毎年彼らの居住地を移動するマンモス
を狩って生活をしていたが…というお話。エメリッヒ=クロ
ーサーの原案からジョン・オルロフが脚本を執筆し、撮影は
来年2月にアフリカで開始される。
 なお、先史時代を描く作品では、先にメル・ギブスンが、
西欧人が渡来する前のマヤ文明の物語“Apocalypto”を古代
マヤ語の台詞で撮影するとして話題になっているが、本作の
台詞は英語で撮影されるということだ。ただしエメリッヒの
意向で、出演者には無名の俳優を使うことになっており、そ
の選考は10月後半に行うとしている。
 製作は、エメリッヒと彼の永年のエージェントだったマイ
クル・ウィマーが今年4月に設立したセントロポリスが行う
もので、ソニーが配給する。
 なお、題名からは“One Million B.C.”を連想したが、さ
すがに人類の祖先が恐竜と戦うような荒唐無稽のものではな
いようだ。しかし、巨大なマンモスを登場させるとなれば、
やはりそれなりのVFXも必要とされるはずで、エメリッヒ
とソニーの関係では、“Godzilla”で培った技術を発揮して
もらいたいもの。特に、マンモス狩りのシーンには期待した
いところだ。
        *         *
 『トレジャー・ハンターズ』(Without a Paddle)で主人
公トリオの1人を演じた俳優のダックス・シェパードは、脚
本家としても認められている人だが、彼の新作で日本を舞台
にした“Get'Em Wet”という脚本が、パラマウントで映画化
されることになった。
 お話は、アメリカでバスタブのトップセールスマンとなっ
た男が、その販路拡大のため日本にやってくるというもの。
当然そこから始まる日本の商慣習や風俗とのカルチャーギャ
ップを題材としたものになるようだが、大体、風呂場の構造
からして違う日本にバスタブのセールスとは飛んでもないこ
とを思いついたものだ。
 日本の風俗を描いた作品では、昨年のアカデミー賞で、ソ
フィア・コッポラ脚本、監督の『ロスト・イン・トランスレ
ーション』が話題になったが、本作はその本格コメディ版と
いうことにもなりそうだ。
 なお脚本は、やはり俳優のウィル・アーネットとの共作に
よるもので、2人は映画化の主演にも起用されることになっ
ている。またシェパード+アーネットのコンビでは、すでに
“You Are Going to Prison”という作品を完成していて、
本作は続編ではないが、それに続く作品になるものだ。
 またシェパードは、俳優としてはソニーの“Zathura”に
出演している他、レヴォルーションとハッピー・マディスン
が製作する“Guerilla Photographer”の脚本を提供。また

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10月15日(土)
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