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On the Production
by 井口健二
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■第96回
その物語は、津波によって親とはぐれ、インドの動物保護
区に収容された赤ん坊カバが、親友となった100歳のカメと
共に、故郷アフリカを目指して危険な旅に出るというもの。
そしてこの物語の脚本化をシュルマンが契約したものだ。
なお製作は、実写とフォトリアルのCGIアニメーション
の合成で行うということで、ウォルデンでは、『ナルニア国
物語』と、それに続いて現在製作中の“Charlotte's Web”
で培われた技術をさらに発展させたものにしたいと意欲を表
明している。
またウォルデンでは、今が製作のベストタイミングと判断
しており、現状では監督も未定だが、出来るだけ早く陣容を
決めて早急に製作に掛かりたいということだ。
* *
『ピーター・ラビット』などの絵本で有名なイギリスの作
家ベアトリクス・ポッターの生涯を描いた“Miss Potter”
の映画化が、レネー・ゼルウィガーとユアン・マクレガーの
共演で進められることになった。
ポッターは1866年の生まれで、若い頃は毎年の休暇をスコ
ットランドやイングランドの湖沼地帯で過ごす以外は孤独な
暮らしを続けていた。しかし、その自然に包まれた暮し中で
出会った小動物たちの姿を水彩画で描き始め、やがて地元の
政治家の病気の娘に、そのイラストを添えた物語の手紙を送
ったことから、その手紙に目を留めた出版社により1902年の
“The Tale of Peter Rabbit”に始まる作品群が生み出され
た。なお、出版された本はポッター自身が装丁したもので、
そのサイズは、小さな子供が手に持って読むことができるよ
うに配慮されているということだ。
そして今回の映画化に関しては、以前はブルース・ベレス
フォード監督と、ケイト・ブランシェットの主演で進められ
ていたものだが、その計画が頓挫し、その後をゼルウィガー
らが引き継ぐことになったもの。なお、ゼルウィガーは製作
総指揮も担当することになっている。製作会社はフェニック
ス・ピクチャーズ。
また映画化は、実写にアニメーションの合成を加えて行わ
れるということで、監督には、1995年の“Babe”で大成功を
納めたクリス・ヌーナンが、同作以来の復帰を果たすことに
なっている。脚本は、トニー賞の受賞記録もある舞台監督の
リチャード・マルトビーJr.で、彼は“Miss Saigon”の作詞
家の1人でもあるそうだ。
撮影は来年3月にイギリスで開始の予定。物語の時代背景
は19世紀末ということで、ヴィクトリア朝のイギリスの再現
にも興味を引かれるところだ。
なおゼルウィガーは、日本ではラッセル・クロウと共演の
“Cinderella Man”が公開中だが、この後にはドリームワー
クス・アニメーションの“Bee Movie”の声の出演が控えて
いる。また、パン兄弟のオリジナルから中田秀夫がハリウッ
ドで監督する予定の“The Eye”のリメイク版への主演も発
表されているが、スケジュールはどうなっているのだろう。
* *
またまたMGMからソニーへ移管された企画で、ベン・メ
ツリッチが執筆したノンフィクション“Bringing Down the
House: The Inside Story of Six MIT Students Who Took
Vegas for Millions”の計画が進められることになった。
この物語は、原題の通りMIT(マサチューセッツ工科大
学)の6人の大学生が、コンピュータを駆使してラス・ヴェ
ガスのカジノに挑み、実際に数100万ドルを荒稼ぎした実話
に基づくもので、2003年の4月にその映画化権がMGMと契
約されていた。そして一時は“Breaking Vegas”の題名で、
ブレット・ラトナーの監督も決まっていたが、彼が“X-Men
3”に参加したために頓挫した企画の一つだったものだ。
その計画がソニーで復活することになったもので、新たに
題名を“21”として、監督には、やはりMGMからソニーへ
移管された“The Pink Panther”のリメイクを手掛けたショ
ウン・レヴィの起用が発表された。また脚色は“Be Cool”
のピーター・スタインフェルドが担当している。
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10月01日(土)
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