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On the Production
by 井口健二
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■第94回
化された“Blast from the Past”(タイムトレベラー)な
どの脚本家ビル・ケリーのアイデアに基づくものということ
だが、物語の内容は、上記の「アラディンと魔法のランプ」
の現代版という以外の情報は一切公表されていない。ただし
製作は、“The Pacifier”(キャプテン・ウルフ)などのア
ダム・シャンクマンのプロダクションが担当し、現状ではシ
ャンクマンの監督予定として、ケリーによる脚本の完成が待
たれているということだ。
 因にケリーは、実写とアニメーションの合成による妖精物
語の現代版として、今年6月15日付の第89回などで紹介して
いる“Enchanted”の脚本も担当しているということで、こ
の手の内容では信用があるようだ。
 なお上記のように、この作品ではシャンクマンの監督予定
となっているものだが、2003年11月1日付の第50回などでも
書いているようにシャンクマンの監督予定は常にスケジュー
ルが一杯で、上記の“Enchanted”でも当初はシャンクマン
の監督が予定されていたが、第89回で紹介したようにケヴィ
ン・リマに変更されている。従って今回の作品もその手順を
踏む可能性は高そうだ。
        *         *
 ソニー・ピクチャーズから、“Black Hawk Down”などの
脚本家ケン・ノーランが提出した75ページのscript-mentに
対して、300万ドルという同社最高額の契約が結ばれたこと
が発表された。因に、script-mentというのは、script(台
本)と呼ぶには短いし、treatment(概要)では長すぎると
いうことで、新たに作られた言葉のようだ。
 そして今回の作品は、ワイトリー・ストリーバーという作
家による来年8月刊行予定の小説“The Grays”を脚色した
もので、その内容は、秘密裏に地球を訪れていた異星人と地
球人との関係を描いたものと言われている。また詳細な内容
は明らかにされていないが、中心となる主人公は女性だとい
う情報もあるようだ。
 因に原作者のストリーバーは、1981年にアルバート・フィ
ニーが主演した現代が舞台の狼男ものの“Wolfen”や、83年
にトニー・スコット監督がデビュー作として映画化した吸血
鬼ものの“The Hunger”のようなモダンホラー作品で知られ
るが、その一方で、アート・ベルという作家と共作した終末
ものの“The Coming Global Super Storm”は、ローランド
・エメリッヒ監督の“The Day After Tomorrow”の元になっ
た作品として公認され、彼自身が映画のノヴェライゼーショ
ンも手掛けているというものだ。
 従ってこれだけの実績と、それにノーランの脚色という条
件が加われば、上記の契約金も納得できるというもので、こ
の金額についてとやかく言っている報道も見掛けたが、まあ
あまり邪推はしたくないという感じのものだ。
 監督や製作時期などは未定だが、状況から考えるとかなり
大規模な作品になりそうで期待して待ちたいところだ。
        *         *
 後半は続報を2つ紹介しておこう。
 まずは、ウォシャウスキー兄弟の脚本、製作、ナタリー・
ポートマン主演による“V for Vendetta”の公開について、
当初予定されていた11月4日の全米公開を来年3月17日に延
期することが配給元のワーナーから発表された。
 この延期の理由は、表向きはVFXなどのポストプロダク
ションが遅れているためとされているものだが、実はこの作
品の内容が、去年12月1日付の第76回でも紹介しているよう
に、1950年代のナチスドイツが勝利した平行世界のロンドン
を舞台に、全体主義に支配された人々を解放するためのテロ
活動を描いているというもので、先日来のロンドンでのテロ
攻撃の印象の強いうちは、公開を待った方が良いという判断
が働いたものと考えられているようだ。
 ということで公開延期が決定された訳だが、この3月17日
には、元々ワーナー製作でドリュー・バリモア、エリック・
バナ共演の“Lucky You”という作品が予定されていたもの
で、公開はこの作品との入れ替えということになるようだ。

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09月01日(木)
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