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On the Production
by 井口健二
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■私の頭の中の消しゴム、シン・シティ、愛を綴る詩、そしてひと粒のひかり、エコーズ、チャーリーとチョコレート工場
納められた『渦まく谺』を、『スパイダーマン』や『宇宙戦
争』の脚本家デイヴィッド・コープが自らの脚本、監督で映
画化した1999年製作の作品。              
元々の映画化権は、原作の発表直後からユニヴァーサル映画
が40年にわたって所有していたものだったが、コープが偶然
見つけた原作本に惚れ込み、映画化権を買い取って自ら映画
化を進めた作品。その入魂の脚本は、流行のスプラッターや
ホラーコメディの路線を排し、極めてオーソドックスなホラ
ーサスペンスに仕上がっている。            
ふとしたことから死者の霊を見ることのできる能力を身に付
けてしまった主人公が、その霊の導きによって殺人事件を解
決して行くことになるが…という『シックス・センス』『ア
ザーズ』を髣髴とさせる物語。ただし本作は、アメリカでは
『シックス・センス』に1カ月遅れで公開されたものだ。 
残念ながら僕は原作を未読だが、映画は主人公の苦しみや、
事件が解き明かされるにしたがって主人公を襲う恐怖などが
手際よくまとめられており、結末の良さも含めて極めて満足
度の高い作品になっていた。              
そしてこの主人公を、『ミスティック・リバー』などのケヴ
ィン・ベーコンが演じ、狂気との狭間をさ迷いながらも、真
実に近付いて行く男を鬼気迫る演技で好演している。なおベ
ーコンがホラー映画に出演するのは、無名時代『13金』に出
て以来だったそうだが、この翌年にはSFホラーの佳作『イ
ンビジブル』にも主演している。            
しかし、そのベーコンが顔負けの素晴らしい演技を見せるの
が、主人公の息子を演じたザカリー・デイヴィッド・コープ
という子役。撮影当時6歳だった彼の演技力には感心した。
因にこの子役は監督と似た名前だが、苗字のコープはCopeと
書き、親戚ではないそうだ。              
コープの監督作品では、昨年『シークレット・ウィンドウ』
が公開されたが、この作品は僕にはあまり買えるものではな
かった。しかし本作は、見事なストーリーテリングと丁寧な
映像演出でこのような作品なら、また期待してみたいと思っ
たものだ。                      
                           
『チャーリーとチョコレート工場』           
         “Charlie and the Chocolate Factory”
ロアルド・ダールの1964年作『チョコレート工場の秘密』の
映画化。同作は1971年に“Willy Wonka and the Chocolate
Factory”の題名で映画化されたことがあり、本作はそのリ
メイクでもあるが、前作の脚本も手掛けた原作者は前作の出
来が気に入らなかったそうだ。             
そこで今回の映画化では、監督をティム・バートンが担当。
彼は1996年に製作を担当したダール原作『ジャイアント・ピ
ーチ』の映画化でダールの遺族に認められ、今回は原作の発
表40周年の記念事業としての映画化に、遺族側から指名され
たものだ。                      
さらに、主演のウィリー・ウォンカ役を、監督とは4度目の
コラボレーションとなるジョニー・デップ、またチャーリー
・バケット役には、デップと『ネバーランド』で共演したば
かりのフレディ・ハイモアが起用されている。      
なお、脚色は『チャーリーズ・エンジェル』のジョン・オー
ガストが担当した。                  
物語の舞台は、従業員はいないのに製品だけ出荷されてくる
謎に包まれたウィリー・ウォンカのチョコレート工場。その
工場主ウォンカから、世界中に5枚だけ封入されたゴールデ
ン・ティケットを見つけた子供たちを工場見学に招待すると
いう発表が行われる。                 
そしてその5枚目の発見者となったチャーリーは、元工場の
従業員だった祖父を付き添いに工場見学に参加するのだが、

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07月30日(土)
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