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On the Production
by 井口健二
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■さよならCOLOR、青空のゆくえ、空中庭園、チャッキーの種、銀河ヒッチハイク・ガイド、アイランド、奥様は魔女
品と言うことになるが、2大作のような殺伐としたものでは
なく、柔らなユーモアと暖かさに溢れた作品で、見ていて心
が和む感じがした。

『アイランド』“The Island”
『アルマゲドン』のマイクル・ベイ監督による近未来SF。
地球全体が汚染され、汚染を逃れた人々は施設に集められて
集団生活を送っていた。そこでは簡単な作業が日課としてあ
るだけで、食事も充分に与えられる。そして彼らの希望は、
地上でただ一カ所汚染のない“アイランド”への移住者を決
める抽選に当ることだった。
そしてこの日も、一人の黒人男性がアイランドへの抽選に当
り、彼は喜んで旅立って行ったが…そんな生活に疑問を感じ
る男が現れた。彼は、夜ごと自分がアイランドへ向かう船か
ら転落して溺れる悪夢に苦しめられていたのだ。
以下、ネタバレになります。
まあこの筋立てで、クローン技術が背景にあると聞けば、大
抵のSFファンならこの謎は簡単に見破ってしまうところだ
ろう。しかしこれがこのままで終わらせないのが、監督マイ
クル・ベイの腕の見せ所という感じの作品だ。
楽園からの逃亡というテーマでは、僕としては1976年に映画
化され、その後テレビシリーズにもなった“Logan's Run”
を思い出さない訳には行かない。しかし、至って牧歌的な風
景だった1976年作に比べると、その逃亡の描き方もずいぶん
様変わりしたものだ。
何しろ主人公は、かなり早い時間に謎を見破って施設を逃亡
してしまうのだが、それから後は、まあ見てくださいと言う
ような展開となる。しかも主な舞台は未来のロサンゼルスに
なるのだが、これがちょっとレトロな未来図という感じでニ
ヤリとさせられた。
他にも、奇抜なデザインの乗物や、未来の大陸間鉄道まで登
場するが、これらもまた、どれもちょっとレトロな雰囲気を
出しているのも良い感じだった。美術は、ニール・ジョーダ
ン監督作品や、最近では『トロイ』を手掛けたナイジェル・
フェルプス。
VFXアクションもどんどん手慣れてきて、本当に何でもで
きそうな感じになってきているが、アクションの出来映えは
一面では掛ける物量の勝負にもなってくる訳で、こういう作
品を見せられると、日本映画はどう踏ん張っても足下にも及
ばないと感じてしまう。
中心はフリーウェイでのチェイスということになるが、『マ
トリックス・リローデット』を髣髴とさせるスピード感に、
さらに現実味と重量感を付け加えた感じで、その迫力には目
を見張るものがあった。VFXはILMが担当している。
元々はもっと未来を想定して描かれた物語だったようだが、
現実のクローン技術の進歩に合わせて最終的には今から15年
ほどの未来に設定された。従って、全体的な雰囲気は現代と
さほど変わらないが、その中に未来が存在する。そんな現実
感が楽しめた。
原案とオリジナル脚本は、『すべては愛のために』のカスピ
アン・トレッドウェル=オーウェン。これを、この秋公開の
“The Legend of Zorro”や、来年公開夏予定の“Mission:
Impossible 3”を手掛けたアレックス・カーツマン、ロベル
ト・オーチーのコンビが完成させている。
主演は、ユアン・マクレガーとスカーレット・ヨハンソン。
これに、ショーン・ビーン、スティーヴ・ブシェミ、マイク
ル・クラーク・ダンカン、そして『イン・アメリカ』でオス
カー候補となったジャイモン・フンスーらが共演している。

『奥様は魔女』“Bewitched”
1964−1972年に亘って放送された往年の人気テレビシリーズ
を、『めぐり逢えたら』のノーラ・エフロン監督とオスカー
女優ニコール・キッドマン主演で劇場版リメイクした作品。
オリジナルのテレビシリーズは、今でも再放送が続いている
ほどの人気番組だが、日本での放送開始は1966年だったとい
うから、まあ僕などはもろにそれを見ながら育った世代と言
えそうだ。その僕が見てこの映画化は、見事にその人気番組
の雰囲気を再現しているものだ。
物語はオリジナル同様、人間界で暮らすことを夢見る若い魔

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07月14日(木)
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