ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■ナチュラル・シティ、50回目のファースト・キス、バースデー・ウェディング、ジャマイカ/楽園の真実、ダンシング・ハバナ、理想の女
雇されてしまう。そんな彼を支援したいケイティは、彼と共
に賞金5000ドルが得られる大晦日のダンス大会に出演するこ
とを決意し、彼と共にダンスの練習に励むことになるが… 
実は、彼女の両親は元社交ダンスのプロで、彼女にもその素
養があるという背景もあるのだが、そんな彼女が形式的な社
交ダンスとは全く違う、情熱に満ちたキューバ音楽のダンス
に目覚めて行くという物語だ。             
そして、この主人公をイギリスの新星モローラ・ガライが演
じ、相手役には『天国の口、終りの楽園』のディエゴ・ルナ
が扮して、キューバ音楽に乗せた激しいダンスを見事に披露
している。ダンス自体はカット割りなどでごまかしてもいる
が、見た感じはよかった。               
なお『天国…』では、共演のガエル・ガルシア・ベルナルが
一躍人気者になったが、僕は以前からルナの方が親しみやす
くて良い感じに思っていた。本作は、そのルナの親しみやす
いキャラクターが見事に活かされた作品と言えそうだ。  
他に、1987年作に主演したパトリック・スウェイジが、ダン
ス・インストラクター役で出演して見事なダンスを見せてく
れるのも見所と言えそうだ。また、主人公の妹役で『アトラ
ンティスのこころ』などのミカ・ブーレムが出演している。
一つのことに打ち込んで行く青春の素晴らしさが見事に描か
れた作品で、この作品の感じは、僕の一番好きなタイプのも
のだ。そしてこの作品には、1958年という時代背景も見事に
織り込まれていた。                  
1時間27分の上映時間もこの内容には手頃で、同じくギャガ
配給の『シャル・ウィ・ダンス?』の併映には持ってこいと
いう感じ。2本立てのメッカ早稲田松竹あたりで上映された
らまた見に行ってしまいそうだ。            
                           
『理想の女』“A Good Woman”             
オスカー・ワイルド原作の戯曲“Lady Windermere's Fan”
を、1930年のイタリア南部のリゾート地を舞台に脚色した作
品。                         
大恐慌もどこ吹く風でイタリア南部のリゾート地に集う金持
ちたち。そんな社会に1人の美貌の女性が現れる。その彼女
には、男性問題でニューヨークの社交界を追われた女だとい
う評判が立つが、たちまち男性たちを虜にして1軒の別荘を
借りて住むようになる。                
それからほどなく、その別荘に足繁く通う若い男の姿が噂に
なり始める。彼は、結婚1年目を迎えたばかりの資産家で、
彼女の家には資産管理の相談で行っていると話すのだが、彼
の若い妻は、小切手帳の控えからその女に多額の金を渡して
いることを知ってしまう。               
この美貌の女性をヘレン・ハントが演じ、若い妻をスカーレ
ット・ヨハンセンが演じる。              
原作をご存じの方には今更だろうが、原作を知らずに見てい
た僕は、スリラーやアクションでもないこの作品に、これだ
けドキドキしたのは久しぶりだった。人間模様やその機微が
見事に描かれ、まさに文芸作品という感じの作品だ。   
しかもこれを93分の中にきっちりと納めた演出も見事。監督
は本作が4作目のイギリス出身のマイク・バーカー。これか
らが楽しみになりそうだ。               
ハントが演じる運命に翻弄された女性の姿も見事だし、ヨハ
ンセンの初々しさに溢れる若妻の演技も魅力的だった。特に
ハントの、声も仕種もすべて押さえた演技の中に、必要な情
熱を込めた演じ方が素晴らしかった。          

05月30日(月)
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