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On the Production
by 井口健二
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■ライフ・イズ・ミラクル、ワイルド・タウン、HINOKIO、樹の海、マラソン
きないために危険が伴うと考えられるものだ。
しかし少年の母親は、息子に溺愛するあまり、マラソンの才
能があると信じ、息子にマラソンが楽しいものと信じ込ませ
てしまう。実はこの作品のポイントはそこなのであって、物
語を単純な美談に終らせていない素晴らしさを持つものだ。
そしてこの母親の盲信的な熱意に支えられて、少年はフルマ
ラソン完走3時間以内の記録を達成してしまう。しかもそれ
によって、少年の中に確実に何かの効果が表れる。
映画のポスターには少年の笑顔が掲げられている。しかし、
映画の中でも説明されているように、自閉症の患者は感情表
現をすることができず、笑顔などありえないものだ。その自
閉症の患者が笑顔を見せる。それが事実だとすれば、これは
大変なことなのだ。
なお映画では、コーチ役のイ・ギヨンが指導にのめり込んで
いく過程がうまく描かれていた。また指導の仕方も判りやす
く説明されていたし、特に最後の注意の与え方も納得できる
ものだった。これに疑問を挟む人もいるようだが、彼が完走
したことは事実なのだ。
物語がどこまで実話に則したものかは知らないが、映画は韓
国に限らず日本でも社会的に考えなければいけない問題を描
いたもので、この作品がしっかりとした問題提起になってく
れることを期待したいものだ。
04月30日(土)
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