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On the Production
by 井口健二
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■ミリオンダラー・ベイビー、バス174、皇帝ペンギン、マイ・リトル・ブライド、初恋のアルバム、ザ・リング2、Little Birds
そんな父親が行方不明になり、彼女は両親が巡り会ったとい
う島を訪れる。そこには昔は母も働いていたという海女たち
がおり、母親の実家を訪ねた主人公は、自分そっくりの若き
日の母親に出会う。そしてその家で過ごすうち、若き日の父
親が現れる。                     
当時の母親は両親を失い、海女の仕事をしながら弟を都会の
学校に通わせていたが、本人は読み書きができなかった。し
かし弟には手紙を書かせ、その読めない手紙を届けるのが後
の父親である郵便配達員だったのだ。          
やがて父親は、母親が読み書きができないことに気づき、彼
女に小学校の教科書を与えて読み書きを教え始める。こうし
て愛が育まれて行ったが…               
一種のタイムトラヴェルものだが、タイムパラドックスのよ
うなSF的要素は排除して、純粋なラヴストーリーが展開し
て行く。それが多分韓国の人ならもっと強く感じられるのだ
ろうが、日本人にも通じるノスタルジックな雰囲気の中で見
事に語られる。                    
特に主演のチョン・ドヨンは、合成を用いた母娘2役を演じ
ているが、その2つの個性を演じ分けた演技は見事なもの。
また、その成長した母親を演じるコ・ドゥシムの演技も素晴
らしい。そしてこの2人1役も見事に演出されていた。  
なお、チョン・ドヨンは海女として海に潜るシーンも代役な
しで演じており、その海女たちの群舞のような海中シーンも
美しく、素晴らしいものだった。            
                           
『ザ・リング2』“The Ring Two”           
日本作品のリメイクでアメリカでも大ヒットした『ザ・リン
グ』の続編。日本版でも続編は作られたが、本作はアメリカ
で作られたオリジナル脚本に基づく。そしてその監督を、日
本版オリジナル及び続編の監督中田秀夫が担当した。   
物語の骨子は、貞子(サマラ)の呪いが再び活動を始め、そ
の呪いの根源を探るために、貞子(サマラ)の足跡を辿ると
いうもので、その点では共通している。しかし、日本版の続
編では前作の母子は脇役だったのに対して、本作ではその親
子が再び主演している。                
そこで、前作で母子を演じたナオミ・ワッツとデイヴィッド
・ドーフマンの再登場となるが、特にドーフマンの見事な恐
怖演技には感心した。ただし、設定は前作の6ヶ月後という
ことになっているが、明らかにもっと成長してしまっている
のはご愛嬌だろう。                  
そして本作では、この母子の再登場によって、母親が息子を
守るという前作から続くテーマがより鮮明になった点が、日
本版の続編との決定的な違いと言える。本当は日本版でもこ
れをやりたかったが、俳優の都合でできなかったのではない
か、そんな感じも持った。               
実際、中田監督がこの作品に再挑戦した理由も、そこにある
のではないかという感じだ。              
そして、さらにこの母親の存在を際立たせるのが、シシー・
スペイセクの登場だ。2度のオスカー受賞者でありながら、
『キャリー』の印象を拭えないスペイセクが、この恐怖映画
に堂々と登場する。その存在感だけでも見る価値のある作品
と言える。                      
なお中田監督は、上映後の記者会見で、ワッツとスペイセク
に挟まれてモニターを見ている時は、夢見心地だったと述懐
していた。                      
また監督は、記者会見の中で、本作ではショックシーンのつ
るべ打ちのような表現は避けたと証言していた。実際に映画
では、母子の情愛が恐怖に打ち勝って行く訳だが、観客にも
そのイメージは鮮明で、恐怖映画の雰囲気ではない感じもし
た。                         

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04月14日(木)
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