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On the Production
by 井口健二
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■最後の恋のはじめ方、フィーメイル、コンスタンティン、ZOO、レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語、ブレイド3、帰郷
もちろん、特異なシチュエーションが前提になっている物語
ではあるが、それぞれがそれなりに説得力のあるものになっ
ているのだ。この辺の手抜きのないところが、原作の人気の
理由なのだろうし、映画はそれをちゃんと映像化している感
じがした。
一方、その不幸に襲われる子供たちを演じるのが、『ゴース
トシップ』で少女の霊を演じたエミリー・ブラウニングと、
『ロード・トゥ・パーディション』でトム・ハンクスの息子
役のリアム・エイケン。さらに2002年生まれで、1歳前から
ドラマに出演していたというカラ&シェルビー・ホフマン。
この子役たちが本当にうまい。
しかもこれに、メリル・ストリープや、ジュード・ロウ(ス
ニケット=ナレーター役)らが加わって、映画を一層盛り上
げているというものだ。
『ハリー・ポッター』の成功以後、児童書の映画化の計画は
目白押しだが、なかなか実現には至っていないのが実情だ。
その理由は、物語に盛られた豊かなイマジネーションを映像
化すること自体の困難さによるところが大きい。
実際『ハリ・ポタ』などは、物語をそれなりに追えばいいも
のだし、映像的にもVFXを多用する必要はあるが、それも
判りやすいものだった。ところが本作のような作品では、描
かれているものを映像として納得できるものにすること自体
が難しい。
その点でこの映画化は、ブラッド・シルバーリング監督以下
のスタッフが実に良い仕事をしている。次々登場する不思議
な風景は、原作に挿絵が付いていたらきっとこうなのだろう
と思わせるものだし、そこで繰り広げられるアクションも見
事に演出されていた。
『ブレイド3』“Blade Trinity”
ウェズリー・スナイプスの主演で、ヴァンパイアキラーの主
人公の活躍を描いたシリーズの第3弾。
ブレイドというのは、元々は1972年にマーヴェルコミックス
から刊行された“The Tomb of Dracula”の中に登場したマ
イナーなキャラクターだったということだが、1998年にスナ
イプスの主演で映画化された第1作は、全米で7000万ドルの
スマッシュヒットを記録。そして2002年に続編が製作され、
今回その第3弾が作られたものだ。
物語的には、第1作では全能の力を得ようとした吸血鬼のリ
ーダーと闘い。第2作は死神族と名告る吸血鬼集団と闘った
ものだったが、本作第3作では、シリア砂漠での太古の眠り
から甦った吸血鬼の始祖との闘いが描かれる。
この吸血鬼の始祖というのが、純血であるが故に現代の生き
残りの吸血鬼より強大な力を持ち、吸血鬼たちはその力を自
らのものにしようとしている。それを阻止するのがブレイド
の使命だが、吸血鬼たちも有名になったブレイドにいろいろ
な罠を仕掛けてくる。
そしてブレイドはその罠に填って、ついにはFBIも敵に廻
すことになるのだが…今回はブレイド側にも強力な助っ人が
現れる。
というような展開だが、基本的にこのシリーズは、格闘技で
黒帯5段の実力を持つというスナイプスのアクションを描く
のが目的で、さらにそれにVFXが華麗な彩りを添えるとい
うのが見所の作品だ。従って物語の粗さなどは、多少は目を
つぶることにしよう。
なお設定としては、吸血鬼は殺すと灰となって燃え尽き死体
が残らない。従ってブレイドは、吸血鬼を何人殺しても罪に
問えないというもので、これはテレビの『インベーダー』で
も使われた設定だが、その辺はうまく再利用された感じだ。
なお本作は、本シリーズ化の一翼を担った脚本家のデイヴィ
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02月28日(月)
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