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On the Production
by 井口健二
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■第81回
        *         *
 2007年5月4日の全米公開が予定されている“Spider-Man
3”に関して、その脚本に第2作の脚本を担当したアルヴィ
ン・サージェントの参加が発表された。
 この脚本については、監督のサム・ライミが、実兄のイヴ
ァンと共に執筆していることが公表されていたが、実は第1
作もクレジット上はデイヴィッド・コープになっているが、
最終的な脚本はサージェントが仕上げたものだそうで、前2
作を通じての迫力ある展開は、どちらもサージェントの腕に
よるものだったようだ。
 そのサージェントが、今回も参加することになったものだ
が、実は、ライミ兄弟はすでにストーリーを完成させている
と言うことで、サージェントの参加は、そこから映像化に向
けての最後の詰めを行うためのようだ。しかしこの詰めのた
めにコロムビアでは7桁($)の契約金を支払うというのだ
から、彼の手腕への期待の大きさが判るというものだ。
 なお、サージェントは『ルート66』などのテレビの脚本
でキャリアをスタートさせ、その後に映画界に進出。すでに
1977年の『ジュリア』と1980年の『普通の人々』で2度のオ
スカーを受賞、また1973年の『ペーパー・ムーン』でノミネ
ートを得ている大ベテランだ。今年4月に74歳になるという
ことだが、それで“Spider-Man”の脚本を書けるのだから、
本当に素晴らしい才能と言うところだろう。
 因に、同様のシリーズと脚本家の関わりでは、“Mission:
Impossible”シリーズの全作を、『チャイナタウン』でオ
スカー受賞のベテラン脚本家ロバート・タウンが見ているそ
うだ。
 また今回の情報で、Variety紙にはサージェントが第4作
のオプション契約も結んだと報じられていたが、以前に報告
したように現時点でそれは考えられない話で、他の情報誌な
どの引用では無視されたようだ。今回は“Specimen Days”
の記事でもテーマとなる詩人の名前が間違っていたし、ちょ
っと気を付けた方が良いようだ。
        *         *
 1982年にディズニーが映画化した史上初のサイバースペー
ス映画“Tron”(トロン)のリメイクが計画されている。
 オリジナルは、後に『風の惑星/スリップストリーム』な
どの作品も発表するスティーヴン・リスバーガーの脚本監督
で製作されたもので、電脳世界に入り込む技術を発明した主
人公が、誤ってコンピューター内に送り込まれ、管理ソフト
などと闘いながら脱出の道を探るというお話。コンピュータ
用語がアレンジされて別の意味で使われるなど、当時のコン
ピュータマニアにはそれなりに面白がられたようだが、物語
自体は単調で面白味に欠けるものだった。
 また、製作にはCGが使われたことになっているが、実際
はコンピュータで打ち出された幾何学的な線画に、台湾で着
色が行われており、基本的にはセルアニメーションにジェフ
・ブリッジス、デイヴィッド・ウォーナーらの俳優の演技を
合成しただけの作品だった。
 ただし前評判はかなり高くて、当時には珍しい日米同時公
開だったこともあり、雑誌記事の執筆などはかなり苦労した
ものだが、郊外の東映撮影所かどこかの保税上屋で通関前の
作品を、大蔵省の特別許可で見せてもらったものの、見終っ
て頭を抱えた記憶もある。
 そういう作品のリメイクだが、時代は変わって今はCGI
も当たり前の世の中だし、そんな今にどのような作品が再提
示されるかには、ちょっと興味を引かれるところだ。また映
像的にも、当時ののっぺりした壁ばかりの背景がどのように
進化するかにも興味が湧く。
 なお今回の報道は、このリメイクの脚本に、ブライアン・
クラグマン、リー・スタンタールという脚本家チームの起用
が決まったというもので、彼らはインターネットが発達した
現代に合った物語を展開したいと抱負を語っていたようだ。
因に、この脚本家チームは、『パッション』などのイコン社
の製作で、ギャヴィン・オコンナーが監督する歴史ドラマの

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02月15日(火)
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