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On the Production
by 井口健二
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■クローサー、アナコンダ2、コントロール、シャル・ウィ・ダンス?、さよならさよならハリウッド、オオカミの誘惑
本作は2002年に全米公開されたもので、製作は2001年の秋、
9月11日の前後に行われていたものと思われる。ニューヨー
ク派のアレンにとってその痛みは、02年のアカデミー賞受賞
式にニューヨークを代表して初めて出席したことでも判る通
りだろう。
しかしこの作品には、そのような影は落ちてはいない。いや
もしかすると、本当は予定されていたロケーション撮影など
がセットに替えられた可能性はあるが、物語の展開では、そ
れは現れてはいない。ただ、ニューヨークという言葉がいつ
も以上に多く聞かれたように思えたのは気のせいだろうか。
物語は、ニューヨークを題材にした大作映画の企画がハリウ
ッドの映画会社で進められるところから始まる。企画会議で
その題材にベストな監督の名が挙がるのだが、オスカー2度
受賞の経歴を持つ彼は、その天才ぶりが禍してハリウッドか
らは敬遠されていた。
しかも企画している映画会社には、監督の元妻がその社長の
許に走ったという曰くもある。だが、彼を最も押しているの
もその元妻だった。そして企画はどうにか通り、当初は渋っ
ていた監督も自分にしかできない企画と悟って、映画製作が
開始されるのだが…
実はこの後、クランクインを控えて飛んでもない事態が発生
し、その事態を隠すために撮影現場は大混乱(?)となって
しまう。
そしてこの物語の合間に、アレンのハリウッド批判とも取れ
る皮肉たっぷりの台詞や映画会社トップの生活ぶりなどが描
かれ、最後には、これがカンヌで上映されたときの会場の様
子を覗きたくなるような見事なHollywood Endingが用意され
ている。
本作の撮影監督はドイツ人だそうだが、このEndingには、F
・W・ムルナウ監督の1924年作品『最後の人』を思い出させ
た。また今回、劇場用の宣伝チラシには、爆笑問題大田光の
コメントが載っているが、この作品にこの人選はピッタリと
いう感じで、実にそういう感じの作品なのだ。今後もアレン
には、この感じで行ってほしいものだ。
『オオカミの誘惑』(韓国映画)
2001年に当時16歳の少女がインターネットで発表し、韓国で
大評判になったという原作の映画化。モデル出身で、韓国で
は四天王を凌ぐと言われる、いずれも1981年生まれのチョ・
ハンソン、カン・ドンウォン共演の青春映画。
大都会ソウル。そこに、見るからに田舎出身の純朴そうな少
女が、大きな鞄を持って降り立つ。彼女は父親を亡くし、離
婚した母親を頼ってソウルにやってきたのだ。しかし地下街
で迷ってうろうろする内に、高校生同士の抗争の場に巻き込
まれてしまう。
そこをなんとか脱出した彼女は、母親の家にたどり着き、母
親の再婚相手の連れ子で活発な都会っ子の1歳違いの妹や、
幼い弟に出迎えられる。そして妹と同じソウルの高校で、新
たな学園生活が始まるが…
町で再び抗争騒ぎに巻き込まれた彼女は、他校のリーダー格
の男子生徒と出会い、そこで出身地を答えた彼女は、何故か
その男子生徒からお姉さんと呼ばれるようになる。一方、彼
女は、自分の通う学校のリーダー格の男子からも慕われるよ
うになり…
抗争する2校のリーダーから同時に慕われるという、まあ、
16歳の少女が書いた夢物語という作品。話がうまく行き過ぎ
るところは多々あるが、それなりの出来事も次々起こるし、
厭味なところもなく、正直、見ている間は充分に楽しめた。
いわゆるイケメンの2人の主人公役も、映画出演は1作目、
2作目という新人だが、これを『火山高』などのベテラン、
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02月14日(月)
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