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On the Production
by 井口健二
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■第78回
とだが、実は今回の製作ではパタゴニック・フィルムスとい
う会社が共同製作しており、この会社が海外の配給権を独占
してしまっていた。このためロドリゲスは、自らの製作配給
会社を設立して、旧来の会社に対抗しようという目論見のよ
うだが、続編の権利についてはこの会社との関係がまだ明確
ではないようだ。
因にパタゴニック社は、“Dibu”や“Condor Crux”とい
った作品で、すでに7本の長編アニメーションの製作実績が
あるということで、アルゼンチンは意外なアニメーションの
製作国だったようだ。
* *
この後は、SF映画の情報を3本ほど紹介しておこう。
まずは続報で、2004年6月1日付の第64回で紹介したピア
ズ・アンソニー原作の“Xanth”シリーズ第1巻“Spell for
Chameleon”の映画化の脚色に、『ウォルター少年と夏の休
日』で脚本監督を手掛けたティム・マッキャンリスの起用が
発表された。
この映画化では、ウォルフガング・ペーターゼンの監督と
共に、『トロイ』の脚本を担当したデイヴィッド・ベニオフ
の参加が発表されていたものだが、結局ベニオフは製作だけ
を担当することになるようだ。因にマッキャンリスは、SF
ファンの賞賛を浴びた『アイアン・ジャイアント』の脚本で
も知られるが、その他に“Dancer, Texas Pop.81”という作
品でも再び脚本監督を担当している。
ただし、本作の監督はペーターゼンが変らず担当している
もので、配給はワーナーが行う。
* *
以下は新しい情報で、いずれもヒューゴー賞受賞作の映画
化の計画が発表されている。
その1本目はクリフォード・D・シマック原作の1964年の
受賞作“The Way Station”(中継ステーション)の映画化
権を、ピーター・ウィンサーとランディ・サイモンの2人が
主宰するレヴェルストーンというプロダクションが契約し、
ウィンサーの監督で映画化を目指すことになった。
銀河を縦横に巡る物質転送装置による交通機関。その中継
ステーションが地球にも置かれていた。その管理を任される
のは南北戦争の退役軍人イノック・ウォーレス。彼の容姿は
30代にしか見えないが、実は100年以上の歳月をそのステー
ションを守って生きてきたのだ。しかしそんな彼の秘密が暴
露され、地球壊滅とさらには銀河文明消滅の危機が訪れる。
原作者のシマックは、1930年代から執筆を始め、1950年代
のアメリカSFの絶頂期を支えた作家の一人だが、今まで映
画化の話を聞いたことが無く、今回の情報も意外な感じで受
け取ったものだ。作風は叙情的な描写で知られ、このような
短文の紹介では到底その良さは伝えられないが、今回の計画
が成功して、それに続く動きが出てくることを期待したい。
なお映画化は、サイモン・バリーという脚本家の脚色で行
われることになっている。
* *
そしてもう1本は、アーシュラ・K・ルグインの原作で、
1970年にネビュラ賞とのダブルクラウンに輝いた“The Left
Hand of Darkness”(闇の左手)が、2001年のアカデミー
賞で主演男優賞など3部門にノミネートされた『クイルズ』
の製作者サンドラ・シュールバーグによって映画化されるこ
とが発表された。
物語は、一旦構築された銀河文明が衰退した後の未来を背
景に、忘れられた惑星「冬」で繰り広げられる。そこに再び
銀河文明への参加を呼びかける使者が来訪するが、中世さな
がらの文化程度となった人々にその意味を伝えることは至難
の技。それでも使者は、国々を巡って説得を続けるのだが…
1970年代以降のSFの女王と呼ばれたルグインが、最初に
開花した作品と言われる名作で、以前にも何度か映画化の計
画はあったと思うが、今回はついに本格的に動き出しそうな
発表となったものだ。因にルグインの原作では、この発表の
行われた12月13日から2夜連続で、“Earthsea”のテレビ化
がアメリカSci Fiチャンネルにより放送されており、今回の
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01月01日(土)
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