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On the Production
by 井口健二
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■Movies−High #5、ザ・キーパー[監禁]、生命(いのち)−希望の贈り物、オーシャンズ12
いに追い掛けるテレビ番組の女プロデューサーなども登場し
て、そこそこ複雑というか、それなりに変化を付けた展開に
はなっている。
と言っても、この展開に余りメリハリが感じられず、見終っ
て悪い気分ではないが、取り立てて良いというほどの作品で
もない。折角のアルジェントとホッパーの共演の割には、ち
ょっと中途半端な感じの作品だった。
何かもう一捻りあれば良かったのだが、脚本も演出も、ちょ
っと生真面目すぎる感じがした。ホッパーの怪演はさすがだ
し、アルジェントのファンなら見ても良いと思うが、それを
楽しめない人には、ちょっと…かも知れない。
なおアルジェントとホッパーは、現在撮影中のジョージ・A
・ロメロ監督による久々のゾンビ映画“Land of the Dead”
で再共演しているはずで、その作品も楽しみだ。
『生命(いのち)−希望の贈り物』“生命”
1999年9月21日に台湾南部で発生した大震災を題材としたド
キュメンタリー作品。マグニチュード7.3といわれるこの
地震では、台湾全土で2500人以上が死亡したり、行方不明に
なっている。
カメラはその被災地の一つ、九扮二山(扮は正しくは人遍)
に入る。その被災地の様子にまず息を呑む。ここでは2つの
山が崩れ、家屋9階分の厚さと言われる土砂によって谷間の
村が完全に埋め尽くされている。そしてその下に20数名が行
方不明となっている。
その捜索は重機を使って行われているが、山の姿が変ってし
まったために、元の家屋の位置も特定できず、ここと思う場
所を掘り下げ、何も見つからなければ他の場所で同じことを
繰り返すという状態。遺体はおろか何の手掛かりも発見でき
ないことの方が多い。
そして偶然に難を逃れた遺族(日本の報道では使えない言葉
だが、そう表現されていた)たちは、被災地の一角に設けら
れた貨物コンテナを改造した仮設の住居で寝起きしながら、
家族の痕跡を捜している。カメラはそんな遺族4組7人の姿
を追う。
彼らは、2人の子供を親許に残して日本に出稼ぎに来ていた
夫婦や、多額の借金を背負う父親のため働きに出ていた姉妹
など、いずれも、なぜ自分たちだけが家族と離れて難を逃れ
たのか、自責の念に駆られる人たちだ。
阪神淡路の震災から10年が経ち、今年また新潟県中越の大地
震が起きたところだが、この作品では、地震そのものの物理
的な被害を描くのではなく、そこに残された人々の心の被害
を描いている。そこには描かれるべきドラマがある。
しかし、それはただお涙頂戴のドラマではなく、あるときは
監督が声を荒げて叱咤してしまうような事態も登場する。そ
してそれは、その人たちが苦しみ抜いた結論であることも理
解できるものなのだ。
遺族という言葉が使われるなどの国民性の違いや、社会環境
の違いなどはあるし、日本の被災地で同じようなことが起き
ているかというと、決してそうではないと思うが、描かれる
悲しみは同じように感じられた。
なお一般公開は2005年1月下旬からだが、その前の1月14日
には、監督の呉乙峰を招いての中越地震救援チャリティ試写
会が、新宿紀伊國屋サザンシアターで開催されることになっ
ているようだ。
『オーシャンズ12』“Ocean's 12”
1960年作品『オーシャンと11人の仲間』をリメイクした2001
年作品の続編。01年作品からは、敵役のアンディ・ガルシア
を含めてメムバー全員が再登場し、今回はさらにキャサリン
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12月30日(木)
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