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On the Production
by 井口健二
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■第77回
オリジナルシリーズの雰囲気とは少し違う。その辺で監督自
身の資質がどのようなものか、ちょっと気になるところだ。
 なお、オリジナルシリーズからは、実はその放送中に8本
の劇場版がMGMから公開されている。その作品は、1966年
公開の“To Trap a Spy”(罠を張れ)に始まって、同年に
“Spy With My Face”(消された顔)、“One Spy Too Many”
(地獄へ道連れ)、“One of Our Spies Is Missing”(消え
た相棒)、1967年に“The Spy in the Green Hat”(ナポレ
オン・ソロ対シカゴ・ギャング)、“The Karate Killers”
(ミニコプター作戦)、1968年に“The Helicopter Spies”
(スラッシュの要塞)、“How to Steal the World”(地球
を盗む男)と続くものだが、これらの内、3作目辺りからは
シリーズで2回に分けて放送された作品を、ただ繋いだだけ
のものだったように記憶している。
 しかし第1作と第2作に関しては、シリーズで放送された
エピソードではあるが、60分番組1回の作品にさらに追加撮
影を行って長編作品にしたもの。しかも、シリーズの最初の
シーズンは白黒放送だったが、劇場版はカラーで上映された
ものだった。このため、当時劇場で見ていた僕らは、劇場用
に全て撮り直された作品だと思っていたのだが、今回当時の
文献を調べていたら、実はこのシリーズはカラーで撮影され
ていたが、放送環境が整っていないために白黒で配給された
ものだったのだそうだ。最初のシーズンの全作がそうかどう
かは判らないが、ここぞと思われる作品には、そういう手段
が講じられていたようだ。
        *         *
 お次は、DCコミックスの映画化だが、これもテレビシリ
ーズで人気のあった“Wonder Woman”の映画化に新たな展開
が出てきたようだ。
 “Wonder Woman”は、紀元200年以来、絶海の孤島で男性
世界から隔絶して文明を築き上げてきた女族が、第2次大戦
中に不時着した米軍パイロットによって発見され、そのプリ
ンセスがアメリカに留学して、そこで現代文化を学びながら
正義のために闘うというもの。見えない飛行機など女族が開
発した不思議な機器を駆使する一方、女族伝来の格闘技など
の特技を活かして悪者を倒して行くというお話だ。
 そしてテレビでは、最初にABCで2本のTVムーヴィが
製作され、その2作目に主演したリンダ・カーターの主演で
1976年にシリーズ化。ただしこのシリーズは翌76年にキャン
セルされるが、主な登場人物もそのままにCBSに移動して
1979年まで放送されたものだ。なおABCでのシリーズは、
原作の設定まま第2次大戦中が背景だったが、CBSでは現
代を舞台にし、後半では妹分のWonder Girlとして、デブラ
・ウィンガーが出演していたことでも知られている。
 この“Wonder Woman”に関して、今回報告された情報は、
今年4月1日付の第60回で紹介した“Firefly/Serenity”の
クリエーターのジョス・ウェドンに、脚本と監督のオファー
があったというもの。ただしウェドンには、8月15日付け第
69回で紹介したように“X-Men 3”の監督もオファーされて
おり、そのどちらが選ばれるかは、まだ未定ということだ。
 なお、今回の情報では、当然キャスティングなどは未定の
状態だが、最近『オペラ座の怪人』で圧倒的な演技を見せた
女優のミニー・ドライヴァーが、ぜひこの役をやりたいと、
自らのウェブサイトで宣言しているそうで、企画が本格的に
動き出したら、また面白いことになりそうだ。
        *         *
 続いては、前の記事でタイトルが登場した“X-Men 3”に
関連した話題で、製作会社のフォックスから次々にスピンオ
フの計画が発表されている。
 その1本目は、映画シリーズでヒュー・ジャックマンが演
じた金属の爪を移植された狼男ウルヴァリンのキャラクター
を独立の主人公にした作品で、題名は“Wolverine”。シリ
ーズの中でも単独行動の多い主人公の単独での冒険を描くこ

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12月15日(水)
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