ID:47635
On the Production
by 井口健二
[459712hit]

■第76回
 実は手元の資料では、監督や脚本などが判らないのだが、
それにしても突然の撮影開始の繰り上げで、スタッフやキャ
ストの対応は大丈夫なのだろうか。それから発表されている
題名は、1979年にディズニーが製作した宇宙もののSF映画
のタイトルと同じもの(ディズニー作品は最初にTheが付い
ているのが違うと言えば違う)だが、このままの題名で認め
られるのだろうか。
        *         *
 日本では昨年公開された“28 Days Later”(28日後…)
や、2000年にレオナルド・ディカプリオ主演で映画化された
“The Beach”(ザ・ビーチ)の原作者としても知られるア
レックス・ガーランドが発表した新作の脚本に、6桁($)
の契約が公表された。
 この脚本は“Time Keeper”と題されたもので、2人の少
年が、実はこの世では魔法が本当に使えることを発見し、そ
の魔法を使って世界の歴史の中で、普通でない役割を演じる
ことになるというお話。最近流行りの若年向けファンタシー
ということになりそうだが、Variety紙の記事では、1985年
にリチャード・ドナーが監督した『グーニーズ』を、より薄
気味悪く、現代化したような作品と紹介されていた。
 契約を結んだのは、イギリスの映画会社のワーキング・タ
イトルと製作者のバリー・メンデル。因みにメンデルは、年
末に全米公開が予定されているウェス・アンダースン監督の
海洋SF“The Life Acquatic”や、ジョディ・フォスター
が監督する計画で長らく滞っている“Flora Plum”なども手
掛けている。
 “The Beach”は見ていないが“28 Days Later”にはイギ
リスの小説で伝統的な終末ものの味を感じた。今度はイギリ
スのもう一つの伝統のファンタシーということで、ガーラン
ドという作家の持味が本当はどの辺にあるのか判らないが、
期待したくなる作品というところだ。
 なおワーキング・タイトルは、アメリカ配給はユニヴァー
サルと優先契約を結んでいるようだが他の国は不明。日本は
どこが配給するのかも気になるところだ。
        *         *
 トム・クルーズ主演、スティーヴン・スピルバーグ監督に
よる“War of the World”の撮影は、11月7日にニュージャ
ージー州でのロケーションから開始されたが、これから来年
6月29日の全米公開に向けての、文字通りの時間との競争が
スタートしたようだ。
 因みに、スピルバーグの計画では、今回は75日間の撮影期
間を予定しているということ、また大掛りなものから先に撮
影するスケジュールになっているということだ。そして12月
初旬にはニューヨーク州で1000人のエキストラを使った撮影
が計画されているようだ。
 しかし今回製作を担当しているキャスリーン・ケネディの
記録によると、スピルバーグは通常70日以内で撮影を完了し
ているということで、例えば2002年の『キャッチ・ミー・イ
フ・ユー・キャン』では、ロサンゼルスからニューヨーク、
モントリオール、クェベックまで移動した撮影を56日間で行
っている。それに比べると、今回の撮影が如何に大変なもの
になるか想像が出来るというものだ。
 また、VFXに関しては、今回はILMが全て担当するも
のだが、その総数は500ショットが予定されている。そして
その製作は、本編撮影の終了までに少なくとも半数が完了、
または製作中になっていることが期待されているそうだ。 
 実際、このスケジュールはかなり大変なもののようだが、
このためスピルバーグは、撮影監督のジャヌーシュ・カミン
スキーから視覚効果のデニス・ミューレンまで、最も気心の
知れたスタッフを招集しており、ケネディの言葉によれば、
「これが出来る人がいるとすれば、それはスピルバーグ。彼
は、多分それが出来る唯一の監督だ」ということだ。
 なお、パラマウントとドリームワークスが計上した共同製
作の資金は1億2800万ドル。ただしこの中には、クルーズと
スピルバーグの契約金は入っていないということで、2人は

[5]続きを読む

12月01日(水)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る