ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■透光の樹、ツイステッド、犬猫、ニュースの天才、クライモリ、トルク、マイ・ボディガード、80デイズ、みんな誰かの愛しい人
傭兵として数多くの人間を殺し、魂の救いを得る術も失った
男。そんな主人公が、誘拐のはびこるメキシコシティで、幼
い少女のボディガードとして雇われる。         
最初は頑なに少女との交流を避ける主人公だったが、やがて
少女の純粋な気持ちに触れ、徐々に人間らしさを取り戻して
行くことになる。しかし誘拐犯は彼らを襲い、犯人の銃撃で
重傷を負った彼には、少女の誘拐を阻止することができなか
った。                        
しかもこの誘拐事件には現職の警官も関わっていた。その警
官殺しの罪での警察の追求と、警官たちの恨みも買う主人公
に、一人の女性ジャーナリストが援助を申し出る。彼女は、
インターポール帰りの連邦捜査官と協力して警察の腐敗を暴
こうとしていたのだ。                 
こうして協力者を得た主人公は、傭兵として培った能力を最
大限に発揮して、誘拐犯たちを追いつめるべく、壮絶な戦い
を展開して行く。                   
この主人公をデンゼル・ワシントン、少女をダコタ・ファニ
ングが演じる。                    
オスカー俳優のワシントンの名演は当然だが、どの作品で見
ても驚異なのが、9歳のファニングの演技力だろう。誘拐被
害者の役は『コール』ですでに演じているが、今回は誘拐さ
れるまでの自然な少女の振舞いが、本当に見事としか言いよ
うがない。                      
監督はトニー・スコット。実は前作の『スパイ・ゲーム』で
は、ロバート・レッドフォードの主演で、ちょっと?と思っ
たものだが、今回はワシントン、ファニングの主演で良い感
じを取り戻している。特に、多彩に駆使される撮影手法は見
事だった。                      
それにしても今年60歳のスコットが、9歳のファニングをど
のように演出したのか、その風景も見てみたいものだ。  
                           
『80デイズ』“Around the World in 80 Days”     
ジュール・ヴェルヌ原作の1956年のオスカー受賞作を、ジャ
ッキー・チェン主演でリメイクした作品。        
実は、先に公開されたアメリカでの評価はあまり芳しいもの
ではなく、多少心配だったのだが、どうしてジャッキー映画
として見れば、アクションも適度にあるし、ゲストスターは
そこそこ豪華だし、結構楽しめる作品だった。      
始まりは19世紀末ヴィクトリア朝のロンドン。ロンドン銀行
で盗難事件が発生する。その事件には裏があるのだが、犯人
でチェン扮する主人公は、警察に追われて発明家フォッグの
屋敷に逃げ込み、身を隠すため新発明の実験台を志願する。
こうしてフォッグの召使となった主人公は、主人を80日間
世界一周の賭けに乗せ、その旅を利用して母国中国へ最短日
数の帰還を試みる。こうして始まった冒険の旅だったが、賭
け相手は、カレン・モク扮する中国の女将軍を使ってその妨
害を画策する。                    
物語の発端などは、原作及び前の映画化ともかなり違うが、
単純に紳士同士の賭けという原作の動機も、現代ではあまり
通じそうもないから、これもまた良しとしたいところだ。 
そして、世界10カ国でロケーションが行われたという冒険の
旅が始まる訳だが、その中では原作及び前の映画化にも登場
した日本のシーンがカットされたのはちょっと残念。   
しかし、替りに登場する主人公の故郷という設定の中国山間
の村でのアクションは、チェンの昔の映画を見るような雰囲
気もあり、また助っ人も登場して良い感じだった。    
この他、アーノルド・シュワルツェネッガーから、キャシー
・ベイツまで登場する多彩なゲストもそれぞれ役柄に良くあ
っていて、ただの顔見せでないところも良かった。    
アメリカではともかく、日本のジャッキー・ファンには、充

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08月14日(土)
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