ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■LOVERS、珈琲時光、リディック、アラモ、最狂絶叫計画、ティラミス、お父さんのバックドロップ
とも上記の4本を見ている人には、そこそこ笑ってもらえそ
うだ。特に『ザ・リング』のヴィデオに対する突っ込みは、
いろいろと面白かった。                
                           
『ティラミス』“戀愛行星”              
ニコラス・ツェー主演のファンタスティック・ラヴストーリ
ー。耳の聞こえない青年がダンサー志望の女性に一目惚れす
るが、彼女はその直後に事故死してしまう。そして幽霊とな
った彼女は、青年を頼りに自分の仲間たちのコンテスト優勝
を見届けようとするが…。               
夜は独立に幽霊としていられるが、太陽の下では彼の身体に
乗り移っていなければならないとか、その間は青年の耳が聞
こえるようになるとか、いろいろな設定がされているが、そ
れらがうまく説明され、さらにそれを活かした物語の展開が
用意されている。                   
中国=香港映画で幽霊ものは定番だが、さすがに手慣れてい
るというか、うまく物語が作られていた。また、子供や老人
を使った展開もエピソードとしてうまく填っていた。後半に
ちょっと強引な展開もあるが、それも何となく許せるという
ところだ。                      
あばたもえくぼ的評価になってしまっているが、実際この種
の物語を破綻なく描き切るというのは容易なことではないも
ので、それをさり気無くやってしまっているところがこの映
画の素晴らしさとも言える。              
ツェーは、ダンスやピアノの演奏なども披露するが、どこか
らが吹き替えか判らないほどよくやっている。彼のファンに
は堪らない一編だろう。                
                           
『お父さんのバックドロップ』             
先日亡くなった中島らもが、1989年に発表した児童向け作品
の映画化。弱小プロレス団体のスターレスラーだが40歳の坂
を越えてしまった父親と、父親がプロレスラーであることが
恥ずかしくてならない小学4年生の息子が、親子の絆を取り
戻そうと苦闘する物語。                
原作がどのような展開かは知らないが、映画で盛りを過ぎた
格闘家が無謀な挑戦をするという物語は、『ロッキー』を思
い出さずにはいられない。それならもっと感動的な展開もあ
ったはずだが、そうしていないのは、わざとだろうか。  
実際、主人公の決め技がバックドロップであることは題名か
らも知れるが、僕は聞きかじりでその技のあり様を知ってい
るから了解できたが、そういう事前の知識の無い観客にこの
映画の説明で足りるのだろうか。            
またこの映画では、父親と息子の2人が主人公として描かれ
ているが、おかげで全体の印象が散漫になっていることも否
めない。やはり映画にするなら、どちらか1人に集中させる
べきだったようにも思える。              
いずれにしてもこの作品は、脚本に多少難があると考える。
脚本は、1993年『月はどっちに出ている』や1998年『愛を乞
うひと』で各賞を総嘗めにした鄭義信。         
実際この物語では、当然最後の闘いが盛り上げどころだが、
『ロッキー』以上に無謀なこの闘いで勝機を得るには、それ
なりの準備が必要だろう。               
ここで謀略などは願い下げだが、例えば策略に長けていそう
な生瀬勝久演じる菅原に、勝機を得るためのヒントをもらう
などの展開はあると考える。ただ鍛練のみの準備では話が甘
すぎるし、その辺の捻りを入れるところが映画を面白くする
ものだ。                       
逆に、息子の同級生にバックドロップの意味を説明させるの
でも良い。いずれにしても、この父親にも微かな勝機がある
ということを事前に観客に知らせておく必要がある。レスリ

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07月31日(土)
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