ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■白いカラス、父と暮らせば、あなたにも書ける恋愛小説、ジャンプ、キル・ビルvol.2
客を飽きさせることが無い。正しくエンターテインメントと
いう感じがした。                   
しかも舞台は中国からメキシコまで、その目先の変化の付け
方も見事だった。                   
元々1本で作られるはずを2本にしたということだが、本作
だけでも2時間を超える上映時間は、本当に1本だったのか
と疑いたくなる。しかしエンディングで、vol.1からの出演
者を登場場面付きで見せる辺りは、元が1本だったことを主
張しているようだ。                  
ただし、予告編で主人公自身が「映画を見た人にはやり過ぎ
と言われ」と述懐していた影響なのか、vol.2では、vol.1
のような血の川が流れるほどの描写は無い。僕自身は血の川
を拒否はしないが、その手の描写が苦手の人にも勧められる
作品にはなっている。                 
また、vol.2では、もっとマカロニウェスタン調になるので
はないかと予想していたのだが、思いのほか最後までチャン
バラとカンフーに拘わってたところは、やはり元が1本の映
画だったことの現れかもしれない。           
ただし、ガンファイトもしっかりと描かれていて、特に銃で
撃たれる瞬間を撃たれる側の目線で描く辺りは、マカロニウ
ェスタンの色調も感じられる。もっともこのシーンの撮影で
は高価なレンズを2本お釈迦にしたそうで、さすがタランテ
ィーノというところだ。                
宣伝コピーにもなっているからご存じの方も多いだろうが、
後半にはあっと驚く展開も用意されている。実は僕自身、前
半の展開の勢いに押されて、後半にこの展開があることすっ
かり忘れてしまい、本当に驚くというか、直前にああそうだ
ったと思い出す始末だった。              
そのくらいに全体の構成がバランスよく計算されていたとい
うことなのだろう。なお、この展開については、エンディン
グのクレジットでそれを反映した記載がされているのも嬉し
かったし、それが一種のカタルシスになっているのも見事だ
った。                        
それにしても、この後半の展開の中で主人公が見るヴィデオ
は、そのナレーションが丁寧に流されることからいって、主
人公のその後の姿を示唆しているのだろうか。      
なお、嘘か誠かvol.3の情報もあるようだが、それについて
は明日付で更新予定の第61回を見てください。      

04月14日(水)
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