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On the Production
by 井口健二
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■ゴーストシップ、アウトライブ、カルマ、オズワルド、テープ、ラスムス、おばあちゃんの家、六月の蛇
生活を描いた作品。
7歳のサンウは母子家庭で育ってきたが、ある年の夏、母親
が職捜しをする間を、山村の祖母の家に預けられる。その家
はテレビはあるが故障で映らず、退屈を持て余すサンウは祖
母に当たり散らす。しかし祖母は、口が利けないこともあっ
てそれを耐えているというか、大きな愛情でそれを包み込ん
でいる。
最初サンウは持参した缶詰めばかり食べているが、それも尽
きてしまったある日、手話で食べたい物を訊かれてフライド
チキンを要求する。しかし祖母は鶏を一羽丸茹でにする。一
旦はそれを拒否したサンウだったが、空腹で食べてしまう。
そして雨の中を鶏を買いに行くなどして寝込んでしまった祖
母を、サンウは看病し始める。
都会から来たサンウの荒れた生活態度と、祖母を筆頭に山村
に住む人々の愛情豊かなサンウへの接し方が対比され、自然
に包まれた山村の良さが描かれる。
と書くと、かなりあざとい作品のように読めてしまうが、何
と言うか、祖母の描き方が上手く、一方、サンウの我儘振り
の描き方もユーモアに包まれているので、悪い印象を与えな
い。
なお、サンウを演じているのはCM出演もある子役だが、祖
母はロケ地の山村に住む素人だそうだ。このおばあさんが、
口が利けないという設定の上手さもあるが、実に絵になって
いる。この辺の企画の上手さも、韓国では受賞の対象になっ
ているようだ。
『六月の蛇』
『鉄男』などの塚本晋也の監督で、02年のヴェネチア国際映
画祭で審査員特別大賞を受賞した作品。
企業の重役を夫と暮らす主人公は、心の電話相談室でカウン
セラーをして優秀な実績を上げているが、夫婦生活はセック
スレスで本人の心は満たされていない。
そんな彼女のところへ一束の写真が送られてくる。それは彼
女が自慰にふける姿を写したもので、同封された携帯電話で
写真のネガがほしければ命令に従うように脅迫される。
脅迫者は彼女に電話相談をした男で、男は、彼女が自分の本
当にしたいことをしなさいと言って自分を救ったように、彼
女自身に本当にしたいことをさせるのだと言う。
そしてミニスカートで、下着を着けずに町を歩かされた彼女
は、ポルノショップでリモコン式の大人のおもちゃを買わさ
れる。
願望充足型のポルノ作品と言ってしまえばそれまでだが、モ
ノクロ(カラーポジフィルムを使って青くプリントされてい
る)の画面に篠突くような雨が降り続け、極めて濃密な映像
が展開する。
ヴェネチアでの受賞の他、シッチェス国際映画祭でも美術監
督賞を受賞しているだけのことはある。映画の前半は彼女の
側を描き、後半は彼女の行動に疑問を持った夫を描き、最後
に電話の男と交錯する、そんな構成も登場人物たちの心理を
際立たせて見事だった。
なお、日本公開は一般映画の扱いで行われるようだ。
12月16日(月)
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