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On the Production
by 井口健二
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■ニューヨークの恋人、プロミス、海は見ていた、ブレイド2、フューチャー、天国の口、銀杏のベッド、ガウディ、チョコレート
翻訳が上手く行かず煮詰まっていた彼女は、3000ドルの報酬
にも曳かれて、その仕事を引き受けるのだが…。仕事を依頼
した女が実は男性で、捜し当てた夫は女性だった。そして2
人の間には娘がいて…。
監督のスーザン・シーデルマンは、85年の『マドンナのスー
ザンを探して』で有名だが、85年の作品はマドンナの主演と
いうことで色眼鏡で観られているものの、実際の作品は一風
変った作風で面白かった記憶がある。
今回の作品もちょっと捻った人間関係が面白いし、これをジ
ュディ・デイヴィス、マルシア・ガイ・ハーデン、リリ・タ
イラー、ジリエット・ルイスというちょっと渋目の女優の共
演で、上手く纏め上げている。
映画に登場するガウディの建築や、バルセロナの町並もきれ
いで、行ってみたくなった。

『チョコレート』“Monster's Ball”
ハル・ベリーが史上初のオスカー主演女優に輝いた作品。
白人至上主義の州刑務所の看守で死刑執行官でもある男と、
その男の手で死刑を執行された黒人死刑囚の妻の女。その2
人が共に息子を失ったことから巡り合い、互いに惹かれて行
く姿を描いたヒューマンドラマ。
男は息子の死を切っ掛けに自分の愚かさに気付き、女と出会
うのだが、自分が彼女の夫の死刑を執行したことを隠してい
る。そんな2人のぎこちない、まるで少年と少女のような愛
の育みが、ベリーとビリー・ボブ・ソーントンによって見事
に描き出される。
一方、男の父親役をピーター・ボイルが演じ、『ジョー』の
イメージそのままに、超保守的な老人役を熱演。本人がそう
いう主義者でないことは、出演作品の傾向を見ればわかる訳
だが、ハリウッドでこれほど見事にイメージの決まった俳優
も珍しい。
実際のところ物語は、男の贖罪が中心であって、女はその対
象なのだが、彼女が男の謝罪を受け入れるか否かに最大のド
ラマが作られている。そのドラマへ持って行くシーンの描き
方に映画の醍醐味を感じた。
物語自体は、大方の予想通りに進んで行き、意外な展開など
全く無いのだが、それでも感動してしまうのは、脚本の上手
さ、そして2人の演技と見事な演出の賜物だろう。ハル・ベ
リーのオスカー受賞には完全に納得した。
この作品は人種差別への批判を声高に言っている訳ではない
が、こういうドラマがいつまでも作られることに問題の根の
深さを感じさせられる。なお原題の意味は、死刑執行官たち
が処刑日の前日に、その重圧から逃れるために行うパーティ
のことだそうだ。

06月02日(日)
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