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On the Production
by 井口健二
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■第10回+少年と砂漠のカフェ、パトレイバー、ビューティフル・マインド
する難民を捕えようとする刑事も。毎日を身を粉にして働く
キャインは、実は違法入国者だったのだ。        
ジャリリは砂漠地帯を描く映画のロケハン中に、実際にアフ
ガン難民の少年キャインと出会い、彼を主人公に物語を変更
してこの映画を作り上げたのだそうだ。そしてこの映画に主
演した少年キャインは、9月11日の事件の後にアフガニスタ
ンに戻り、アメリカの攻撃で一時は行方不明だった(その後
イランに戻ってきた)という。             
映画の内も外も、揺れ動く世界の一断面が見事に描き出され
た作品だ。                      
それにしても少年が砂漠の中を走る走る、素人の少年に演じ
させるのだから、これは演出上のテクニックの一つでもあっ
たのだろうが、その走りっぷりが少年の健気さを見事に表現
していた。                      
なお、映画の製作資金の一部はバンダイとオフィス北野が提
供しており、イラン+日本の合作映画となっている。   
                           
『WXIII PATLABOR THE MOVIE 3』
88年から94年に製作された『機動警察パトレイバー』の8年
ぶりに製作された劇場版第3作で、原作はコミック版の『廃
棄物13号』とその続編の『STRIKE BACK(逆襲)』。そして
脚色をとり・みきが担当している。           
正直言って日本製のアニメはほとんど見ない方なので、この
原作にも一応設定のインフォメーションは持っている程度で
思い入れは何にもない。そういうスタンスでこの作品を見る
と、実に良くできたうまい作品だと思って見てしまった。 
ところが思い入れのある当時のファンにはこれが全く不評な
のだそうで、配給元ではあわてて短編の『ミニパト』3本を
発注し、併映作品として上映することになっている。しかし
この短編が面白いテクニックは使っているものの、画質が荒
くて走査線はやたら目立つし、とても商業作品とは言えない
ような代物で、あきれ果てた。             
実際、試写からの帰り道でも、周囲からは、この短編が余り
にひどい過ぎるという意見が聞こえてきたのだが、試写室で
はこれに馬鹿笑いしている連中が何人かいたのだから、結局
そういう連中相手の商売のようだ。           
それにしてもこの本編のどこが悪いのだろう。確かにパトレ
イバーがほとんど出てこないのは問題だろうが、物語は実に
うまくできているし、アニメーションの作りも丁寧で、演出
の水準もかなり高く、こういう日本アニメならもっと見ても
いいと思ったのだが。                 
                           
『ビューティフル・マインド』“A Beautiful Mind”   
94年度のノーベル経済学賞を受賞した数学者ジョン・フォー
ブス・ナッシュJrの半生を描いた作品。といっても、映画の
原作には彼の伝記が挙げられてはいるが、ゴールデン・グロ
ーブ賞でも脚色ではなく脚本賞が与えられているという、見
事に映像化された作品だ。               
プリンストン大学の大学院に奨学生として学ぶ若きナッシュ
は、MITのウィーラー研究所を目指していたが、そのため
に必要な論文が完成しない重圧に苦しんでいた。しかしルー
ムメイトのチャールズの励ましの下、ついに彼は、後のノー
ベル賞の対象となる「非協力ゲーム理論」を創造する。  
これにより念願の研究所に入れたナッシュだったが、周囲か
らの期待はさらに彼に重圧を与えて行く。そんなとき彼のも
とに国防総省からの依頼が来る、それはソ連から傍受した暗
号無線の解読への協力だった。             
その暗号を見事に解いてみせたナッシュは、次に黒いコート
に身を包む謎の男パーチャーの訪問を受け、全米で発行され
る雑誌の記事に隠されたソ連スパイへの暗号文の解読を要請

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03月01日(金)
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