ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■第5回+囁く砂、グレーマンズ・・・、バスを待ちながら、バニラ・スカイ
インドネシアというと熱帯のイメージがあったが、ここに登
場する山里は荒涼とした砂漠の中にあって、時折は白い息も
見える。そんな予想外の風景に驚かされた。       
混乱の時代だからこそ、娘を厳格に育てようとする母親。し
かしそれに反抗する娘との確執は、いつの時代にも変わらな
いテーマのようだ。                  
                           
『グレーマンズ・ジャーニー』             
             *“Journey of the Gray Men”
旅回りで音楽人形劇を見せる老人たちを描いたイラン映画。
いろいろな経緯から昔チームを組んだ3人の老人が数10年ぶ
りに再会、彼らが出会った町に向けて人形劇を演じながら旅
をして行くことになる。そこは1人にとっては故郷であり、
1人にとっては兵役の場所であり、1人にとっては政治犯で
服役した場所であった。                
その旅の間で、いろいろな人との出会いや、革命や大地震の
傷跡が描かれ、アフガン難民などイランの抱える問題が浮き
彫りにされて行く。                  
映画の巻頭で監督が、観客に向かって自分の父親についての
映画を、素人の俳優を使って撮影していることを告げる。実
はこれがちょっとした仕掛けになっていて、映画は途中でス
タッフが登場したり、成りゆきでシナリオを改訂したりと、
ドラマとドキュメンタリーを綯い交ぜにした構成になってい
る。                         
しかしこれがなかなか巧みで、ちょっとあざといところもあ
るがなかなか面白かった。               
原題はアラビア語で、その発音がどうかは知らないが、英語
題名の「グレーメン」は、主人公たちが音楽人形劇を演じて
いることからして、多分「ブレーメンの音楽隊」をなぞった
ものだろう。                     
                           
『バスを待ちながら』“Lista de Espera”        
最近話題作が続くキューバ映画の1編。         
舞台は、ハバナとサンティアゴに向かうバスの待合所。古び
た建物の中はバスを待つ人々でごった返している。しかしよ
うやく来たバスには空席はなく、人々はいつ来るとも判らな
いバスを待ち続ける。                 
待合所には故障したバスがあり、所長は修理して運行しよう
とするが、不調のエンジンの修理は難しい。そして人々が諦
め顔になり、所長が待合所の閉鎖を提案したとき、主人公の
男がバスをもう一度修理しようと言い出す。その輪が人々の
中に拡がって…。                   
後半は、思わぬユートピアが実現してしまうというファンタ
スティックな物語になって行くところがこの映画の面白さだ
ろう。しかしその間に、キューバの現状や、人々の閉塞感の
ようなものが見え隠れする。その辺の巧みさに、この映画の
作者の才能を感じた。                 
                           
『バニラ・スカイ』“Vnilla Sky”           
前回『アザーズ』を紹介したアレハンドロ・アメナーバル監
督の『オープン・ユア・アイズ』を、トム・クルーズが自ら
権利を買い取り、キャメロン・クロウの監督で、ハリウッド
でリメイクした作品。                 
クルーズ演じる主人公は、若くして父親が始めた出版社を引
き継ぎ、成功を納め、彼自身も容姿に恵まれて、キャメロン
・ディアス演じるモデルの女性を恋人に優雅な独身生活を送
っている。しかし周囲には彼から会社の支配権を奪おうと画
策している連中もいた。                
そんなある日、彼に自宅で開かれたパーティにペネロペ・ク
ルス演じる女性が現れる。彼はその女性に魅かれ、彼女の家

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12月15日(土)
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