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On the Production
by 井口健二
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■第4回+スパイ・キッズ、恋ごころ、スパイ・ゲーム、息子の部屋、アザーズ、マルティナの海、ヘドウイッグ
烈な映画で、その監督と主演の映画は一体どんなものかとい
うと、これが完璧なお子様映画に仕上げられている。監督は
ロアルト・ダールの『チョコレート工場の秘密』を映画化し
た“Willy Wonka”を引き合いに出しており、この作品は僕
もヴィデオで見ているが、子供の喜びそうなものを選りすぐ
りで寄せ集めたような雰囲気は実にそっくりだった。   
子供は絶対に喜ぶし、大人もそれなりに楽しめる作品になっ
ている。
                           
『恋ごころ』“Va Savoir”               
ヌーヴェル・ヴァーグの旗手の一人だったジャック・リヴェ
ット監督の最新作。今年のカンヌ映画祭に正式出品され、秋
のニューヨーク映画祭ではオープニングを飾った。    
恋人を捨ててパリを去った女優が、イタリアで参加した劇団
と共にパリに戻ってくる。その公演中に起きるいろいろな出
来事が描かれる。                   
といっても、別段人生の機微と言うような大げさなものでは
なくて、ちょっと予測の付かない物語と、その中でいろいろ
な人物が絡み合う様が面白い。             
女優を主人公にしたせいもあってか、概して女性が堅実で、
男性が奇人に描かれているのは、監督の考え方がそうなのだ
ろうか。                       
ハリウッド流にアクションや台詞の連発で笑わせるのではな
く、上品な笑いで久しぶりにフランスのコメディを「観た」
という感じがした。                  
劇中演じられる『あなたのお望みのまま』という演劇が気に
なった。ルイジ・ピランデッロの作品で、グレタ・ガルボ主
演の映画化もあるということなので観てみたくなった。  
                           
『スパイ・ゲーム』“Spy Game”            
ロバート・レッドフォード、ブラッド・ピット共演、トニー
・スコット監督によるスパイ映画。           
レッドフォードが演じるのは、CIAからの引退最終日を迎
えた老スパイ。しかしそこにかつての教え子だったピットが
中国での作戦中に逮捕されたという報が入る。      
老スパイは作戦室に呼ばれ、教え子の取った行動の解析を始
めるが、折しも大統領の訪中を控える政府は中国との関係悪
化を怖れて救出を諦め、事件のもみ消しを図る。それは24時
間後に処刑が行われることを意味していた。       
解析が進む中で、ヴェトナム、ラオスからベルリン、ベイル
ートへと続く15年に亙る2人の行動が語られ、非情なスパイ
の世界が描かれる。その一つ一つが息詰まるようなスパイ作
戦の記録なのだから、それこそ「007」を何本かまとめた
ような見応えだ。                   
レッドフォードとピットは、『リバー・ランズ・スルー・イ
ット』での監督と俳優以来のコラボレーション。レッドフォ
ードの最近の姿は大体こんなものだが、2人の出合いのシー
ンでは、久しぶりに初々しい雰囲気のピットの姿が出てくる
のが面白かった。                   
                           
『息子の部屋』“La Stanza del Figlio”        
01年度カンヌ映画祭でパルムドール(最優秀作品賞)を受賞
したイタリア映画。                  
両親と息子、娘のごく普通の4人家族。その息子が潜水中の
事故で亡くなり、父親はその日急に入った仕事のために約束
を破り、息子を行かせてしまったことを悔やみ続け、家族は
崩壊して行く。そんな一家の再生までの姿が描かれる。  
映画は父親を中心に描かれており、自分自身、同じように娘
と息子のいる父親として考えさせられることは多々ある。試
写室では、若い女性達の嗚咽があちこちから聞かれたが、僕
自身は泣くよりも、見事に立ち直って行く一家に羨望すら感

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12月01日(土)
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