ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■第2回+地獄の黙示録、ノーマンズランド、寵愛、シュレック
                           
『ノー・マンズ・ランド』“No Man's Land”      
92年のボスニア紛争を、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ生まれ
で、紛争中はサラエヴォの最前線でカメラを廻し続けたドキ
ュメンタリー作家のダニス・タノヴィッチ監督が描いた長編
劇映画。戦争の愚かしさを描き切り今年のカンヌ映画祭では
脚本賞を受賞している。                
ボスニア軍とセルビア軍が対峙する中間の無人地帯の塹壕に
それぞれの兵士が迷い込み、2人は疑心暗鬼の中でも自らが
助かるために協力を余儀なくされるが…。これに国連防護軍
や報道陣が絡んで、話は思わぬ方向に進んでしまう。   
物語はコメディタッチでスピーディーに進むが、思わぬ落と
し穴が待ち構えている。戦争の愚かしさを描く点では、『地
獄の黙示録』に勝とも劣らない。映画が終ったときには語る
言葉を失った。                    
なお台詞の中に、「デウス・エクス・マキナ」という言葉が
出てきた。言葉としては知っていたが、会話の中で普通に使
われるのは初めて聞いた。               
                           
『寵愛』“La Belle”                 
ちょっと特別なシチュエーションの男女の愛を描いた韓国映
画。                         
作家の男性主人公はヌードモデルの女性にインタヴューし、
その後、彼女は彼の家に泊まりに来るようになる。2人は肉
体関係を持ち、そして彼は彼女に純愛を捧げるが、彼女には
彼女自身が愛していると語る別の男性がいた。      
韓国の法律がどうなっているかは知らないが、韓国映画のセ
ックスシーンはかなり際く描かれていていつも驚かされる。
従って話題もそちらに行きがちだが、この作品に描かれた男
女の関係はユニークな中にも丁寧に描かれていて、物語も良
くできていた。                    
映画はほとんど2人の登場人物だけで進められるが、全編に
亙って緊張感を保った演出も見事だった。        
                           
『シュレック』“Shrek”               
アメリカでは今年最高のヒットとなっているDreamWorks製作
のCGIアニメーション。               
主人公オーガ(鬼と訳すのが正しい)のシュレックは人食い
だと恐れられ、人目を避けて沼地に住んでいるが、完全な王
国を目指す領主の命令で童話のキャラクターたちがその沼地
に追い込まれてくる。このため安住を妨げられたシュレック
は沼地を返すように領主に申し入れに行く。ところが領主は
沼地を返す条件として、火を吹くドラゴンの守る城に暮らす
姫を連れてくるように命じ、シュレックはドンキーと共に城
に向かい、見事に姫を救出するのだが…。        
映画は最初から、7人の小人が白雪姫の棺を担いで右往左往
していたり、人間だと言い張るピノキオの鼻が伸びたりと、
パロディのオンパレードで始まるが、描かれている物語の本
質はそんなところにはなくて、現代に忘れられたものが見事
に描かれている。                   
オリジナルのヴォイスキャストの一人ジョン・リスゴーは、
「メッセージのある映画は嫌いだ」と言っているが、ここに
描かれたメッセージは普遍的なもので、この作品がアメリカ
で大ヒットを続けた理由はよく判る気がした。      

11月03日(土)
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