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On the Production
by 井口健二
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■DROP/ドロップ、タンゴの後で、マルティネス、また逢いましょう、ミッシェル・ルグラン−世界を変えた映画音楽家
た西田宣善による第1回監督作品で、京都市右京区でデイケ
ア施設を運営する伊藤芳宏氏の著書を基に描いたヒューマン
ドラマ。
東京で暮らしていた漫画家の女性が京都で一人暮らしの父親
が事故に遭ったとの知らせで京都に帰ってくる。その父親は
幸い一命を取り留めるが、頑固な性格の父親を介護施設に馴
染ませるためのすったもんだが始まる。
そこでケアマネージャーに紹介されたのは、少し変わった所
長が運営する施設。そこでは所長の聞き取りにより入居者の
人生を振り返るイヴェントが行われていた。そんな中でさら
にそれを発展させるアイデアが出され…。
出演は『嵐電』にも出ていた2022年7月紹介『夜明けまでバ
ス停で』や2025年1月紹介『初級演技レッスン』などの大西
礼芳。他に中島ひろ子、カトウシンスケ。
さらに伊藤洋三郎、加茂美穂子、田川恵美子、神村美月、梅
沢昌代、田中要次、田山涼成、筒井真理子らが脇を固めてい
る。
また脚本を『夜明けまでバス停で』などの梶原阿貴が担当し
ている。
人生を振り返るという設定で特に本作の後半の展開では、是
枝裕和監督の1999年作品『ワンダフルライフ』を思い出した
が、僕が是枝監督の最高作と考えている同作の域には達して
いなかったかな。
ただし本作の目的はそこではなくて、介護の現状を訴えたか
ったということのようだが、その部分が何ともステレオタイ
プなのは興を削ぐというか問題の本質を見失わさせてしまう
感じもした。
正直に言ってこの描き方では原作者の意図にも沿わない感じ
で、果たしてこれでいいのかという感じもしてしまったもの
だ。もっとストレートに原作本来の味わいを描いて欲しかっ
た感じかな。
まあそれだと是枝作品にに過ぎてしまう心配もあったのかも
しれないが…。いずれにしてもいろいろな要素を盛り込み過
ぎた感じはする作品だった。言っていることが正しいだけに
勿体なくも感じたところだ。
公開は7月19日より、東京地区は新宿K's cinema他にて全国
順次ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社渋谷プロダクションの招待で試
写を観て投稿するものです。
『ミッシェル・ルグラン−世界を変えた映画音楽家』
“Il était une fois Michel Legrand”
1964年『シェルブールの雨傘』や1967年『ロシュホールの恋
人たち』などの音楽家の生涯を、多数のフィルムクリップや
アーカイヴ映像、関係者へのインタヴュー、生前の密着取材
などを交えて描いたドキュメンタリー。
ルグランは1932年生まれ。11歳でパリ高等音楽院に入学し、
20歳で卒業するまで音楽の基礎をみっちりと叩き込まれた。
そして卒業後はフィリップスのレコード会社で編曲家として
音楽活動をスタート。22歳で最初のアルバムを発表する。
さらに1954年にアンリ・ベルヌイユ監督の作品で映画音楽家
のキャリアを開始。その後はヌーヴェル・ヴァーグの監督た
ちと交流し、ジャック・ドゥミ監督と巡り合って数々の名作
を生み出す。
また1967年から1969年まではロサンゼルスにも居住してノー
マン・ジュイスン監督の作品などでアカデミー賞🄬 は3度の
受賞に輝いている。そんな音楽家の生涯が描き、語り尽くさ
れている。
脚本と監督はデヴィッド・ヘルツォーク・デシテス。カンヌ
市役所の職員ながら就業後には国際映画祭の上映会に潜り込
む程の映画マニアで1999年『ファントム・メナス』に触発さ
れてそのファンを描いたドキュメンタリーを制作。
その後は映画のメイキングや予告編の製作会社などを立ち上
げて映画界に入り、2017年からルグランの密着取材を開始。
幼少期からの憧れだった音楽家の最後を描くことになったも
のだ。
映画は巻頭からルグランの映画音楽が流れて、正にその時代
に映画を観始めた自分としては懐かしにいきなり引き込まれ
てしまった。そこから本作はルグランの生涯やその音楽性の
根源を紐解いて行く。
個人的には『シェルブール』と『ロシュホール』には自分の
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06月22日(日)
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