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On the Production
by 井口健二
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■あめだま、ノーバディズ・ヒーロー、ファレル・ウィリアムス、サスカッチ・サンセット、太陽の運命、ハッピー☆エンド
舞台は広大な森林地帯。そこで暮らすサスカッチ=通称Big
Footの群れが登場するキャラクターとなる。そして物語はと
ある年の春に始まる。そこで1頭のオスがある切っ掛けで発
情してしまうが…。
季節は巡って夏。メスが自分の身体に異変を感じる。そして
群れの行く手に赤いペンキで描かれた「×」印を発見し、さ
らに舗装された道路にも遭遇する。その風景に興奮する彼ら
だったが、やがて別れが生じる。
そして秋。メスと幼い息子だけになった群れはキャンプ用の
テントを発見。そこである出来事に興奮したメスは破水。新
たな生命が誕生する。しかしそこには野獣の捕食者の影も近
付いていた。
さらに冬。遠くに山から煙が上がるのを発見。彼らは仲間へ
の呼び掛けの叫びを発するが、応えはない。そして進んで行
く彼らの前にBig Footの姿を描いた看板が出現する。その看
板に向かっても叫ぶ彼らだったが…。
脚本と監督は、2014年に菊地凛子主演『トレジャーハンター
・クミコ』を手掛けたデヴィッド&ネイサン・ゼルナー。幼
少期にレナード・ニモイがMCを務めた番組でサスカッチに
興味を持ったという兄弟が、その思いを実現した作品だ。
そして出演は、脚本を最初に読み製作の手掛かりも提供した
という2010年10月紹介『ソーシャル・ネットワーク』などの
ジェシー・アイゼンバーグ。
それに2010年12月紹介『ランナウェイズ』などのライリー・
キーオ、2013年2月紹介『オズはじまりの戦い』などの出演
者でスタントマンのクリストフ・ジジャック=デネク。また
監督のネイサンも出演している。
サスカッチというのは元々が未確認生物だからその生態など
は全く不明。従ってここに描かれる展開も全て想像の産物だ
が、監督兄弟は他の野獣生物などの行動を参考に愛情を込め
てその姿を作り上げている。
それはかなり下品な面もあるが、全体的には愛すべき姿とし
て描かれた。しかし描いている内容は登場する音響機器など
の様子から少し前の時代かな。そしてタイトルのサンセット
=日没からは悲しい現実も想像させる作品だ。
公開は5月23日より、東京地区は新宿ピカデリー他にて全国
ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社アルバトロス・フィルムの招待
で試写を観て投稿するものです。
『太陽(ティダ)の運命』
2019年6月30日付題名紹介『米軍(アメリカ)が最も恐れた男
カメジロー不屈の生涯』などの佐古忠彦監督が再び問う沖縄
の現実を描いたドキュメンタリー。
以前紹介の作品は戦後と呼ばれた時代の沖縄史を描いた作品
で、実はコロナ禍で僕は観られなかったが2021年には『生き
ろ島田叡―戦中最後の沖縄県知事』で日本帝国支配下の沖縄
史も佐古監督は描いている。
そして本作では1972年の本土復帰以降の沖縄の苦難の歴史が
第4代沖縄県知事・大田昌秀と第7代沖縄県知事・翁長雄志
の姿を通じて描かれている。それはタイトルにある「運命」
というより「宿命」に近い沖縄県民の叫びだ。
大田は社会学者、沖縄戦研究者の立場から革新統一候補とな
り、1990年に県知事に当選した。そして1995年に米兵による
少女暴行事件が発生し、「日米地位協定」の見直しを訴えて
橋本龍太郎首相から「普天間基地返還」の言質を得る。しか
し県内移設などの条件からその実現は叶わなかった。
これに対して翁長は保守の立場から大田県政を批判、大田を
退陣に追い込むが、那覇市長時代に辺野古埋め立てを強行す
る安倍政権と対立。自らの支持母体だった自民党とも対峙し
て保革の対立を乗り越えた選挙戦で2014年に当選する。
つまりこの2人は、立場は真逆でありながら結果として基地
の返還と県外移設を唱えるもので、これこそが「運命」とい
うより「宿命」と呼べるものだと僕には思えるのだ。それに
しても事態がここまで拗れる原因は、単純過ぎるほど単純だ
と思えるのだが。この単純さが暗礁にもなってしまう。
いやはや、辺野古埋め立ての問題は今までにも2023年11月紹
介『沖縄狂想曲』や琉球放送製作のドキュメンタリーなどで
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02月16日(日)
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