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On the Production
by 井口健二
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■室町無頼、映画を愛する君へ、おんどりの鳴く前に、嗤う蟲、愛を耕すひと
ーターでリモートワークが可能。夫は脱サラで無農薬農業を
目指しているようだ。
そんな夫婦はインスタグラムで「#田舎移住」をアピールす
るなど、田舎暮らしを満喫していたが…。そんな夫婦に村の
顔役の自治会長や近所の住民がちょっかいを出し始める。特
に隣家の夫婦にはちょっと問題があった。
それでも健気に田舎暮らしを始めた夫婦の前に、厳しい村の
「掟」が立ちはだかる。それは悲惨だった村の歴史にも根付
いたものだった。しかもそれが若い夫婦を巻き込む事件に繋
がって行く。
出演は、元乃木坂46メムバーで2020年2月紹介『水曜日が
消えた』などの深川麻衣と、2023年8月紹介『市子』などの
若葉竜也。それに2009年4月紹介『色即ぜねれいしょん』な
どの田口トモロヲ。
他に松浦祐也、片岡礼子、杉田かおる、中山功太らが脇を固
めている。また音楽を『恋のいばら』などのゲイリー芦屋が
担当している。
実は物語の背景にある「村の歴史」というのが水害で、その
復興のために仕方なかったという状況説明がある。それが何
と直前に書いた『おんどりの鳴く前に』にもあって、しかも
その後の展開もかなり似通った設定だった。
勿論それは偶然なのだけれど、こんな設定が作られる社会的
な背景はあるのだろう。それは多分政治不信ということでも
括れると思うが、そんな状況に日本もルーマニアも置かれて
いるということかもしれない。
ただし完成された映画は全く違ったもので、上のルーマニア
作品がある種重厚なつくりであるのに対して、本作は田口ト
モロヲの怪演が光る作品。その辺の作り方の違いにも面白さ
が感じられた。どちらも快作だ。
公開は2025年1月24日より、東京地区は新宿バルト9他にて
全国ロードショウとなる。
なおこの紹介文は、配給会社ショウゲートの招待で試写を観
て投稿するものです。
『愛を耕すひと」“Bastarden”
2013年2月紹介『ロイヤル・アフェア/愛と欲望の王宮』の
主演マッツ・ミケルセンと、脚本・監督ニコライ・アーセル
が再び手を組み、デンマークの作家 Ida Jessen が2020年に
発表した小説“Kaptajnen og Ann Barbara”を映画化した、
実話に基づくとされる作品。
時代背景は1775年。王族の血を引くが緋嫡子の主人公はそれ
まで多くの人々が挑戦しては敗れた北部ヒース地帯の開墾を
申し出る。それは国王に敬意を表し、開墾に成功したら貴族
の称号を得るという目標のためだった。
そんな彼がやってきたのは正に不毛の地。しかし彼には軍役
の中で得たある秘策もあった。ところが開墾を始めた彼の前
に地元の領主と名乗る男が立ちはだかる。その土地は元より
国王のものであったのだが…。
そこに不吉とされる黒い肌のタタール人の少女や、悪辣な領
主の許を逃げ出して来た若い男女、さらには森に暮らす不法
集団なども加わって、不毛のヒース地帯の開墾を巡る闘いが
繰り広げられる。
共演は、デンマーク出身で2020年〜22年にはリドリー・スコ
ット製作総指揮のSFシリーズに主演したというアマンダ・
コリン。本作で助演男優賞受賞のシモン・ベンネビヤーク。
2014年生まれで本作に大抜擢のメリナ・ハグバーグ。
さらにデンマーク王立美術院卒でプロダクションデザイナー
としても活動するクリスティン・クタトゥ・ソープ。2022年
『ライダーズ・オブ・ジャスティス』という作品でもミケル
センと共演しているグルタフ・リンらが脇を固めている。
また音楽を2013年2月紹介『ハッシュパピー』などのダン・
ローマーが担当している。
文明国とされる北欧デンマークにもこんな時代があったのだ
と思わせる作品。つまりは日本映画の時代劇みたいなものだ
が、異文化に接するという思いがしっかり無いと多少は面食
らうかもしれない作品だ。
しかもテーマが荒野の開墾だから、これはお気楽なアクショ
ン時代劇を期待した人にははぐらかされる感じもしたかもし
れない。実際に一緒に試写を観た人の中にもそんなことを言
っている声も聞こえてきた。
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12月08日(日)
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