ID:47635
On the Production
by 井口健二
[459611hit]
■世界のはしっこ小さな教室、NEW RELIGION、古の王子と3つの花、リファッション、ミート・ザ・フューチャー
そんな3人の仕事ぶりが、今回最初に紹介した作品と同様の
ストーリーを入れ子にした構成で提示される。ただし本作で
はいずれもが香港の話で、背景の区別も付き難く、観ていて
混乱を避けられない感じがした。
しかも内容的には互いに共通するものが薄く、もちろんリサ
イクルという点では共通するが、全体としては統一感のない
作品になってしまっていた。それは同時に訴えるものも希薄
に思えたものだ。
これならそれぞれを独立させて、3部構成で描いた方が判り
易かったのではないかな。それと香港の特殊性みたいなもの
が全く紹介されないのも奇異に感じたが、これは政治的な配
慮もあったのだろうか。
それに対して2本目は、動物の肉を培養して食肉として提供
できるものにするという壮大なもの。それをかなり初期の段
階から綿密に取材して描き上げたもので、これには見ていて
納得するところが大きかった。
原題は“Meat”だが、正に‘meet the future’ の感覚で見
られる作品になっていたものだ。これは本当にSFが現実に
なってきているという感じもした。それに起業家の元職が心
臓外科医というのも関心した。
人造肉というと以前は大豆ミートや、中にはミミズバーガー
なんて話題もあったが、こんな風に筋肉繊維を作り出せると
は…。それが心臓外科技術の応用ということにも感激したも
のだ。
そこに旧来の牧畜産業のロビイストが絡むのも現実的で、こ
れは良く取材されているという感じもした。それにしてもト
ランプ政権時代の話で、ロビイストがテンガロンハットとい
うのには笑ったが。
いずれにしてもこれは見事なドキュメンタリーだった。
公開は2作一緒で6月9日より、東京地区はYEBISU GARDEN
CINEMA、UPLINK吉祥寺他にて、全国ロードショウとなる。
05月14日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る