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On the Production
by 井口健二
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■ハロウィンTHE END、デスパレート・ラン、忌怪島/きかいじま、エスパーX探偵社、世界の終わりから
のを止めて欲しいという依頼が来る。そこで主人公は調査を
開始するが、そこに顔見知りの刑事が現れ、別件でそのグル
ープを追っているから邪魔をするなと警告される。
それでも調査を続けた主人公は、とんでもない殺人鬼の超能
力者と対峙することになってしまう。果たして主人公は、彼
の超能力でその危機を脱することができるのか。
出演は、劇団おぼんろ主宰で舞台の脚本演出も手がける末原
拓馬。他に2018年2月4日付題名紹介『Sea Opening シー・
オープニング』などの佐伯大地、2019年7月紹介『いなくな
れ、群青』などの岩井拳士朗らが脇を固めている。
超能力者と探偵というと、ちょっと違うけど1974年に映画化
もされた小松左京原作『エスパイ』辺りが思い浮かぶかな。
アメコミみたいなド派手な戦いでなくても、手軽に描けると
いう点では同旨の作品はいろいろありそうだ。
そんな中で本作は、扱われる超能力にいろいろ捻りがあって
それなりに楽しめた。それは主人公の能力にしても、副主人
公、さらに敵役の能力も、今までの超能力ものとは少し外し
てそれぞれ巧みに設定されていた。
またそれらを伏線として活用する展開もいろいろと巧みで、
この辺は監督が自ら得意と称するだけのことはあるとも感じ
られた。SF映画ファンとして納得できる作品だった。これ
なら続編も期待したいものだ。
公開は4月29日より、東京は池袋シネマロサ他にて全国順次
ロードショウとなる。

『世界の終わりから』
2009年2月紹介『GOEMON』などの紀里谷和明監督の最
新作で、監督するのは最後かもしれないとされる作品。
時代背景は2030年と設定された現代。主人公はそんな現代で
暮らす女子高校生。両親が交通事故で亡くなり、その後に祖
母も亡くなって、人生に絶望しかかっている状況だ。そんな
彼女の許に突然政府機関の者と称する男性が現れる。
その男性は彼女に最近見た夢を教えて欲しいと言い出し、混
乱する彼女に人類の未来のために協力して欲しいと頼み始め
る。そして彼女は戦国時代と思われる過去の世界で幼い女の
子と遭遇する夢を見たことを思い出すが…。
現代と過去、そして未来が交錯する壮大な物語が動き出す。
出演は、2018年8月5日付題名紹介『ギャングース』などの
伊東蒼。共演者には2022年5月紹介『ビリーバーズ』などの
毎熊克哉、2022年『レッドシューズ』などの朝比奈彩、同年
『流浪の月』などの増田光桜。さらに冨永愛、高橋克典、北
村一輝、夏木マリ、岩井俊二、市川由衣、又吉直樹らが脇を
固めている。
実は試写上映の後で紀里谷監督の挨拶があって、それによる
と映画の撮影は去年の夏に行われたが、脚本はその半年前ぐ
らいに書き始めたということだ。つまりそれはモスクワによ
るウクライナ侵攻が始まったころと言える。
本作はそんな状況が色濃く反映された物語とも言える。実際
に監督の言動はかなり厭世的な気持ちに捉われているように
も聞こえ、そんな気分が物語の根底にあるのかもしれない。
映画には救いもあるが、そう言い切れない部分もあった。
そんな気持ちが「最後の映画」宣言に繋がったのかもしれな
い。しかし『2001年宇宙の旅』の脚本を手掛けたアーサー・
C・クラークは、初めてスタンリー・クーブリック監督に面
会したときに、『博士の異常な愛情』を撮ったばかりの監督
がかなり厭世的で困ったそうだ。
そこを何とか切り替えさせて『2001年』に向かわせたという
ことだが、紀里谷監督も作品の傾向から観てSFがお好きな
ら、次は『2001年』のような作品で気分転換を図ってもらい
たいものだ。協力するSF作家なら色々いると思えるが。
公開は4月7日より、東京はシネスイッチ銀座、新宿バルト
9他で全国ロードショウとなる。

03月19日(日)
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