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On the Production
by 井口健二
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■アプローズ、ALIVEHOON、とら男、島守の塔
公開は8月6日より、東京は渋谷ユーロスペース他で全国順
次ロードショウとなる。

『島守の塔』
第2次世界大戦末期の米軍による沖縄上陸作戦を背景に、戦
争に巻き込まれた庶民の姿を描いた作品。
物語の中心になるのは戦前の沖縄県で最後の官製知事となっ
た島田叡。兵庫県出身の島田は1945年1月に辞令を受け、家
族の反対を押し切り単身で着任した。もう一人は沖縄県警察
部長の荒井退造。栃木県出身の彼は島民の本土疎開を推進す
るが、その中で対馬丸の撃沈が起きてしまう。
それでも二人は、一億総玉砕が叫ばれる中で「命どう宝、生
き抜け!」と住民を鼓舞し、1945年3月までに7万3千人の
県外疎開を実現し、米軍の侵攻で疎開が困難になってからは
激戦地となった島の南部から15万人を北部に避難させ、その
命を救ったとされる。
そんな二人が最後は同じ壕に居たとされるが、その遺体はい
まだに見つかってはいないそうだ。
出演は、萩原聖人、村上淳。他に吉岡里帆、池間夏海、榎本
孝明、成田浬、水橋研二、勝矢、香川京子らが脇を固めてい
る。
監督は、2010年8月紹介『半次郎』などの五十嵐匠、脚本は
監督と2010年8月紹介『武士の家計簿』などの柏田道夫が執
筆している。
第2次世界大戦での沖縄戦と言われると、美談のように描か
れる『ひめゆりの塔』のようなものもあるが、現実は2018年
5月紹介『沖縄スパイ戦史』で描かれたような悲惨かつとん
でもないものだったようだ。
それを踏まえると本作はある意味美談ではあるものの、その
現実として2018年紹介作の様な悲惨な物語が描かれて行く。
実際監督らはその現実を知って本作の脚本を執筆したのでは
ないかと思えるほどのものだ。
戦勝国のアメリカが戦争を美化するのは致し方ないが、日本
国民はこの沖縄戦の悲劇を、もっと現実として知っておくべ
きではないか。そんなことを考えさせられる作品だった。
東京での公開は7月22日よりシネスイッチ銀座にて。その後
8月5日から沖縄、兵庫、栃木で上映開始され、さらに全国
順次ロードショウとなる。

05月29日(日)
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