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On the Production
by 井口健二
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■劇場版おいしい給食🌸卒業🌸、映画はアリスから始まった(モガディシュ、シェイン、私のはなし、オフィサー、わたし達は)
舞台には車椅子での登場だった。そしてインタヴューもグラ
ス片手の泥酔状態で行われており、正に破滅型のアーチスト
という感じの描き方だ。でもそこに愛情がたっぷり込められ
ているのは、製作者の意図がはっきり表れた作品と言える。
公開は6月3日より、東京は渋谷 CINE QUINTO他で全国順次
公開。)

『私のはなし 部落のはなし』
(2007年、大阪芸術大学の在学中に撮った『にくのひと』と
いう作品が各地での自主上映会を経て劇場公開が決まったも
のの、解放同盟の反対運動で公開断念をせざるを得なかった
という過去を持つ満若勇咲監督が、2020年2月9日題名紹介
『ムヒカ世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ』などの
製作者大島新の許で再度被差別部落の問題に挑んだ上映時間
205分のドキュメンタリー。僕自身は、大正生まれの両親が
共に滋賀県生まれだったりした関係で、以前から部落問題に
はそれなりに関心があった。そんな眼で本作を観ていると、
こういう差別は実際に有ったのだろうなあと如実に感じさせ
てくれる作品だった。ただそれが僕より若い、そして関心も
薄い人たちにはっきりと伝わるかどうか。特に本作でも取り
上げられる鳥取ループ問題に関しては、なぜそれが問題なの
かという本質の部分が曖昧にされている感じで、監督の意図
が掴み切れなかった。正直に言ってしまえば、この本質を描
くと差別を助長することになりかねない。そんな思いが描く
ことを躊躇させた、そんなことも考えてしまった。本当に難
しい問題だ。ただ作品中に登場する『東九条』という映画に
関しては是非とも全編が観たいという気持ちになった。本作
の公開は5月21日より、東京はユーロスペース、大阪は第七
藝術劇場他で全国順次公開。)

『オフィサー・アンド・スパイ』“J'accuse”
(2011年7月紹介『ゴーストライター』などのロマン・ポラ
ンスキー監督が、2019年第76回ベネツィア国際映画祭で銀獅
子賞を受賞。翌年のセザール賞では監督、脚色、衣裳の3部
門に輝いたフランス史に残る冤罪事件を描いた作品。時代は
1894年。ユダヤ系のドレフュス陸軍大尉はドイツに軍事機密
を流した疑いで軍法会議に掛けられ、反逆罪で終身刑となっ
て仏領ギアナの悪魔島に送られる。ところが大尉の元教官で
もあったピカール中佐が防諜のトップに就任。中佐は有罪の
決め手となった証拠が偽造であったことに気づく。そこで軍
法会議の再審査を要求するが、国家的なスキャンダルとなる
ことを怖れる上層部と、反ユダヤ勢力がその妨害を始める。
この事態に中佐は当時の人気作家のエミール・ゾラも巻き込
むキャンペーンを繰り広げるが…。原作と脚本は『ゴースト
ライター』でも組んだロバート・ハリス。同作の完成直後か
ら監督と共に企画を進めたがなかなか実現せず。先に小説と
して発表後に映画化に漕ぎ着けたということだ。なお大尉が
収監される悪魔島は、1973年と2017年にリメイクもされた映
画『パピヨン』の舞台でもある。出演はジャン・デュジャル
ダンとルイ・ガレル。他にエマニュエル・セニエ、マチュー
・アルマリックらが脇を固めている。公開は6月3日より、
東京はTOHOシネマズシャンテ他で全国ロードショウ。)

『わたし達はおとな』
(18歳でイタリアに渡って映画と演劇を学び、帰国後23歳で
三越劇場作演出家の最年少記録を樹立。その後はテレビでい
くつもの話題作を演出し、2021年には市川森一脚本賞を20代
で初受賞した加藤拓也の映画デビュー作。主人公は大学でデ
ザインを学ぶ女子学生。彼女は演劇サークルに所属する恋人
とメゾネット型のマンションで同棲中だが、妊娠が判明した
とき彼女はその父親が恋人と決め切れなかった。しかも事実
を告げられた恋人は…。まあ今の時代にはやたらとありそう
なお話かな。そんなあまり新鮮味は感じられない展開だが、
それを若者らしいリアリティで描いている点が評価の対象と
いう感じの作品だ。ただこのリアリティが、演技者が若いと
稚拙感にも見えてしまって、題名の「おとな」とは裏腹な感

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04月24日(日)
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