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On the Production
by 井口健二
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■アンナ・カリーナ(いつくしみ、グッド・B、さらばわが愛、ひまわり、許された子ども、今宵、鵞鳥湖、ランブル、バナナP、燕)pandemic映画
無罪に相当する不処分を獲得してしまう。しかしそれは少年
を地獄に落として行くことになるが…。出演はテレビ番組で
サッカー大久保嘉人選手の幼少期を演じたことがあるという
上村侑。他に黒岩よし、名倉雪乃、阿部匠晟らが脇を固めて
いる。内容的には2012年作と似通っているが、さらに深みを
もって厚く描き込んでいると感じる作品だ。監督には生涯離
れられないテーマになるのかな。公開は5月9日より、東京
は渋谷のユーロスペース他で全国順次ロードショウ。)

『今宵、212号室で』“Chambre 212”
(2013年5月紹介『愛のあしあと』などのクリストフ・オノ
レ脚本、監督で、恋する女の不思議な体験を描いたファンタ
シー要素の強い作品。主人公は法律が専門の女性大学教授。
20年間連れ添った夫はいるが関係は“家族”で、彼女はアヴ
ァンチュールに明け暮れている。ところがそれが夫にばれ、
怒る夫から逃げるようにアパートを飛び出した彼女は、向い
のホテルの212号室に宿を取って夫の行動を観察するが…。
そこに20年前の夫が現れ、さらに夫の初恋の女性や彼女の過
去の恋人らが次々に昔のままの姿で現れる。出演は13年作に
も出ていたキアラ・マストロヤンニと、2018年東京国際映画
祭でグランプリ受賞『アマンダと僕』などのヴァンサン・ラ
コスト。他にカミーユ・コッタン、バンジャマン・ビオレら
が脇を固めている。辻褄は合わないところだらけだが、女性
の気持ちは判るような作品だ。公開は6月12日より、東京は
Bunkamura ル・シネマ他で全国順次ロードショウ。)

『鵞鳥湖の夜』“南方車站的聚會”
(2014年『薄氷の殺人』でベルリン国際映画祭金熊賞に輝い
たディアオ・イーナン脚本/監督による2019年カンヌ国際映
画祭コンペティション部門選出作品。中国南部の湖の畔で、
再開発から取り残されたような街を舞台に、対立する2つの
犯罪グループと警察の三つ巴の抗争が描かれる。主人公は刑
期を終えて街に帰ってきた古参。ところがバイク窃盗団の縄
張りで若い兄弟が率いるグループと対立し、その抗争の中で
誤って警備の警官を殺してしまう。このため警察は懸賞金を
掛けて主人公を追うが、今度はその金を巡って新たな動きが
発生し…。出演はジャッキー・チェンの愛弟子で2011年10月
紹介『1911』などのフー・ゴーと、『薄氷の殺人』にも主演
した2002年10月31日付「東京国際映画祭」で紹介の『藍色大
門』(公開名:藍色夏恋)などのグイ・ルンメイ。展開はかな
り判り難いが、結末は明快なお話だ。公開は5月29日より、
東京は新宿武蔵野館他で全国ロードショウ。)

『ランブル 音楽界を揺るがしたインディアンたち』
     “Rumble: The Indians Who Rocked the World”
(1952年に発表されて歌詞がないのに放送禁止になった楽曲
を基に、その作曲・演奏者がインディアンだったという点を
踏まえて制作されたドキュメンタリー。もちろん中心テーマ
は音楽だが、この作品ではそれに併せて黒人問題に隠れがち
なネイティヴアメリカンの迫害の歴史が紐解かれる。それは
先住民として土地の権利を主張されることへの恐れから、そ
の民族・文化を抹殺しようとした白人たちの企みの告発だ。
そして居留地を逃げ出したインディアンが黒人の居住区に隠
れたり、逆に逃亡奴隷の黒人が居留地に逃げ込むなどで両者
の混交が進み、その中から新たな音楽が誕生し、それが標記
の楽曲を生み、ロック、フォーク、ブルースからジャズ、ヘ
ヴィメタル、ヒップホップを生み出した。これは今まで僕が
考えたこともなかった新たなアメリカ音楽史の提示だった。
正に眼を開かせてくれる作品。呆気に取られるほど面白い。
公開は5月26日より、東京都写真美術館ホールにて上映。)

『バナナパラダイス』“香蕉天堂”
(2019年金馬奨で名誉賞の終身成就奨を受賞した台湾映画界
のレジェンド、ワン・トン監督が1989年に発表した148分の
大作。映画の始まりは1949年中国華北。国共内戦中に国民党
軍に潜り込んだ主人公は、敗残軍と共にバナナが実る台湾に

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03月29日(日)
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