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On the Production
by 井口健二
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■羊とオオカミ(King and I、INFORMER、ファイティングF、世界から、エッシャー、種をまく、パリの恋人、読まれなかった、人生、喝風太郎)
があるなど、1960年代以降のヒッピーやポップカルチャーに
多大な影響を与えたことも伺える。ただこの作品では版画家
本人についての理解は深まるが、僕らが感じるエッシャーの
魅力が描かれているかと言うと少し物足りないかな。映画の
後半に登場する関連動画の数々は素晴らしかったが…。公開
は12月14日より、東京はアップリンク渋谷、アップリンク吉
祥寺他で全国順次ロードショウ。)
『種をまく人』
(2016年製作で、同年の第57回テッサロニキ国際映画祭にて
最優秀監督賞と最優秀主演女優賞のW受賞を果たしたという
作品。震災の3年後を背景に、心を病んで入院していた男性
が退院して弟一家の前に現れる。その家には小学生と3歳に
なるが乳幼児のようなダウン症の娘がいたが…。両親の多忙
で娘2人と行った遊園地で事件が起きる。脚本と監督は画家
として受賞歴もあるという竹内洋介の長編デビュー作。オリ
ジナルの脚本はファン・ゴッホをモティーフにしたというこ
とだが、精神病院にいたこととヒマワリの花がそうなのか?
ただ物語の展開自体は、精神病というテーマと併せて過去に
も多々あるものだし、主演女優賞を受けた11歳の竹中涼乃を
除けば特筆するものでもない。それにテーマ自体が海外では
いざ知らず、自分には合わないものだった。日本公開が遅れ
たのも、恐らくはその点だろう。公開は11月30日より、東京
は池袋シネマ・ロサでロードショウ。)
『パリの恋人たち』“L'homme fidèle”
(名匠フィリップ・ガレルの息子で俳優としても活躍するル
イ・ガレルが、自らの脚本、監督、主演で描くパリの街角の
物語。新進ジャーナリストの主人公は一緒に暮らしていた女
性から妊娠を知らされ喜ぶが、その父親は自分ではないと告
げられ、彼女の持ち物である部屋を追い出される。いやはや
何とも衝撃の始まりだが、そこに幼い頃から知る胎児の父親
の妹らが絡んで、三角関係という訳でもないし、何とも奇妙
な物語が展開される。共演は実生活のパートナーでモデルで
もあるレティシア・カスタと、2017年7月30日題名紹介『プ
ラネタリウム』などのリリー=ローズ・デップ。若い女性の
ファッションリーダーともされるデップの着こなしも注目の
作品のようだ。なお本作は2018年東京国際映画祭「ワールド
・フォーカス」部門において『ある誠実な男』の題名でも上
映されている。公開は12月13日より、東京は渋谷Bunkamura
ル・シネマ他で全国順次ロードショウ。)
『読まれなかった小説』“Ahlat Ağacı”
(2014年のカンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞し
た『雪の轍』などのトルコの巨匠ヌリ・ビルゲ・ジェイラン
監督による2018年の作品。受賞作は196分で、本作は189分の
大作だ。トロイの遺跡も近いトルコ北西部の地方都市を舞台
に、作家志望の若者と定年間近の教師だがギャンブル狂の父
親の確執が、若者が書き上げた故郷が舞台の処女小説の出版
を巡って描かれる。若者は大学を終えて帰郷するが、以前は
付き合っていたらしい同級生の女性の結婚に衝撃を受け、家
に給料も入れず電気も止められるような父親の所業に憤る。
そんな物語がトロイの木馬のモニュメントなどの異質な風物
と、幻覚のような描写も添えて描かれる。出演は、本業はス
タンダップコメディアンでシリアスな役柄は初めてというア
イドゥン・ドウ・デミルコルと、同じくコメディアンのムラ
ト・ジェムジル。公開は11月29日より、東京は新宿武蔵野館
他で全国順次ロードショウ。)
『人生、ただいま修行中』“De chaque instant”
(2007年『かつて、ノルマンディーで』などのニコラ・フィ
リベール監督が、パリ郊外のクロワ・サンシモン看護学校を
舞台に、「誰かのために働くこと」を選んだ看護師の卵たち
の様子を追ったドキュメンタリー。映画はまず手を洗うこと
から始まり、これは基本中の基本なんだなあという感じを抱
かせる。そしてマネキンを使った心臓マッサージの訓練や出
産介助、さらに注射器の扱いから採血、ギプスの切除など、
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09月15日(日)
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