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On the Production
by 井口健二
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■SPECIAL ACTORS(42ndストリート、プライベート・ウォー、楽園、初恋ロスタイム、影踏み、BLACKFOX、ラフィキ、殺さない彼と死なない彼女)
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※
※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
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『SPECIAL ACTORS』
2018年4月22日題名紹介『カメラを止めるな』が話題になっ
た上田慎一郎の単独監督による長編第2作。監督はこの間に
2019年6月23日題名紹介『イソップの思うツボ』も共同で発
表している。
主人公は売れない俳優。今日もオーディションを受けたが、
極度に緊張すると失神する癖も出て結果は散々だった。そん
な主人公が帰宅途中の道端で弟と出くわす。その弟も芝居で
食っていると言うが、それは特殊な役者だった。
そして弟に連れて行かれたのは、「SPECIAL ACTORS」という
名称のプロダクション。そこは主催者の依頼を受けて、結婚
式場や葬儀の会場などに偽装の参列者を送り込むことを主な
仕事としているような会社だった。
ところがそこに怪しい宗教団体に老舗旅館を乗っ取られそう
になっているという若い女性の依頼者が現れ、団体に取り込
まれた女将の洗脳を解いて、乗っ取りを阻止する作戦が開始
される。その作戦に主人公も巻き込まれるが…。
まずは宗教団体の実態を探る調査から始まり、悪質な団体の
裏の貌を暴くスパイさながらの作戦が展開される。
出演は大澤数人、河野宏紀、富士たくや、北浦愛ら1500人の
オーディションから選ばれたという15人。
実はオーディションの実施の段階では脚本はできておらず、
『カメラを止めるな』の時と同様に選ばれたキャストらとの
ワークショップやディスカッションの中で、上田監督の当て
書きによる脚本が作られたとのことだ。
その手法に問題はないと思うのだが、正直に言って僕は前作
をあまり評価できなかった。それは以前の紹介文でも書いた
通り、巻頭に置かれた短編映画の出来が芳しくなかったもの
で、これは多分後半の展開に引っ張られすぎたためだ。
その点が『イソップの思うツボ』では比較的スマートにでき
ていたと思うのだが、本作では結末が気に食わなくなった。
これは多分監督自身が、本作の全体のリアリティに満足でき
なかったせいと思うのだが。
この結末を置くことで、観客にはそこまで観てきたものが全
面的に否定されることになり、フラストレーションが募って
しまうことにもなる。つまり監督にはこのような言い訳では
なく、作品のリアリティの方を追及して欲しかった。
逆にそんなリアリティはなくても、本作は充分に成立してい
たと思うのだが、監督が真面目過ぎるのかな? いずれにし
ても続編は作れそうな作品ではあるので、それも期待したい
ものだ。
公開は10月18日より、東京は丸の内ピカデリー、新宿ピカデ
リー他にて全国ロードショウとなる。

この週は他に
『松竹ブロードウェイシネマ 42nd ストリート』
             “42nd Street: The Musical”
(2017年8月紹介『ホリデイ・イン』でスタートした「松竹
ブロードウェイシネマ」の第4弾で、1933年の大恐慌時代に
公開されて、不況にあえぐ人々に夢と希望を与えたとされる
伝説のミュージカル映画の舞台版。物語は、そんな時代にも
新たな舞台ミュージカルの創造を目指す演出家を中心に、出
資者との契約で主演に起用されるベテラン女優や、駆け出し
だがセンスの光る新人らが織りなしてゆく。ところがプレ公
演の直前にベテラン女優が大怪我を負ってしまい、本公演も
風前の灯火となるが…。出演は2003年から続くテレビシリー
ズ“Emmerdale Farm”で人気を得たトム・リスター。1986−
87年のテレビシリーズ『ドクター・フー』でコンパニオン役
を務めたボニー・ラングフォード。さらにロンドンで数多く

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09月08日(日)
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