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On the Production
by 井口健二
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■すじぼり、アス(おいしい家族、イソップの思うツボ、タロウのバカ、ジョアン・ジルベルトを探して、フリーソロ、隣の影)
祭」で紹介『アイスと雨音』などの紅甘。他に川瀬陽太、渡
辺真起子、佐伯日菜子らが脇を固めている。話題の前作は正
直に言って中途半端で僕は評価しなかったが、本作は良くで
きていた。公開は8月16日より、全国ロードショウ。)
『タロウのバカ』
(2017年9月3日題名紹介『光』などの大森立嗣脚本、監督
による作品。社会の片隅で刹那的に生きる若者たちを描く。
主人公は学校に行ったことがない。そんな主人公を2人の友
人はタロウと呼ぶ。タロウは母親と2人暮らしで母親は別の
名で呼ぶが、出生届は出ているのかどうか。だから母親の呼
ぶ名前も無意味だ。そんなタロウと友人がある状況で実弾入
りの拳銃を手に入れる。とは言え拳銃は弄ぶだけの3人だっ
たが…。出演はモデルで映画初主演のYOSHIと、大森監督と
は2016年『セトウツミ』にも主演の菅田将暉。さらに2018年
3月紹介『50回目のファーストキス』などの太賀。他に豊田
エリー、國村隼。またラブジャンクス所属の角谷藍子、門矢
勇生らが脇を固めている。正直に言って大森監督の作品には
デビュー作から馴染める時と馴染めない時があり、これは後
者だ。でもこの作品は直視するべきものだ。公開は9月6日
より、東京はテアトル新宿他で全国ロードショウ。)
『ジョアン・ジルベルトを探して』
“Where Are You, João Gilberto?”
(1958年にアントニオ・カルロス・ジョビンとの共作で最初
のボサノヴァ曲「想いあふれて」を発表し、「ボサノヴァの
神」とも呼ばれたギタリスト/歌手をリオの町に探すドキュ
メンタリー。音楽家は2006年に来日公演も行ったが、2008年
リオでの「ボサノヴァ誕生50周年記念コンサート」を最後に
人前に姿を現していないのだそうだ。本作ではその姿を追っ
て、音楽家が若き日を過ごした地方都市まで探索の足が延ば
される。作品は2011年原作本の出版直前に自殺したドイツ人
ジャーナリスト=マーク・フィッシャーの著作に基づいてお
り、彼の探索に沿って進められる。ただし実は本作のフラン
ス人監督ジョルジュ・ガショは、元々が音楽系のドキュメン
タリストで、原作とは異なるアプローチもあったと思われる
が…。本作では頑なに原作に沿うことで、普通では描けない
音楽家の実像に迫る作品にもなった。公開は8月24日より、
東京は新宿シネマカリテ他で全国順次ロードショウ。)
『フリーソロ』“Free Solo”
(2019年度のアメリカアカデミー賞で長編ドキュメンタリー
部門に輝いた作品。ロッククライミングの代名詞とも言える
ザイルやハーケンなどの器具を一切使わず自らの手足だけで
岩壁をよじ登る。フリークライミングとも呼ばれる登山術で
鬼才とされるアレックス・オノルドが、最難関の絶壁という
カリフォルニア州ヨセミテ国立公園のエル・キャピタンに挑
んだ2年間の記録。National Geographicの製作で、監督は
2015年サンダンス映画祭で観客賞受賞『MERU/メルー』など
のエリザベス・チャイ・ヴァサルヘリィとジミー・チン。山
岳映画では最強のコンビが、オノルドの挑戦の全てを描き切
る。本作を観るまでは無謀な行為だと思っていたが、本作で
準備に掛ける周到さに驚かされた。もちろん行為自体は危険
極まりないものだが…。さらに撤退する勇気など、正に魅力
の全てが描かれた作品だ。公開は9月6日より、東京は新宿
ピカデリー他でロードショウ。)
『隣の影』“Undir trénu”
(アイスランドのアカデミー賞で作品賞、監督賞、脚本賞、
男/女優賞など7部門に輝いたというサスペンス作品。物語
の舞台は、郊外の住宅地に並ぶ2軒の戸建て。その1軒の庭
に大きな木があり、その影が隣家のベランダに落ちている。
そのため日陰になる家からは伐採が求められていたが…。そ
の諍いが徐々に大きくなって行く。それぞれの家に住む初老
の夫妻と木のある家の息子の夫婦、さらにそれぞれの家の犬
と猫のペットが飛んでもない出来事を引き起こす。諍い自体
はどんな場所でもあるだろうし、それぞれの思いには理解も
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06月23日(日)
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